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シアトル系のコーヒーチェーンの台頭、コーヒーショップやスタンドも多く出店し、さらにコンビニでも淹れたてのコーヒーを気軽に購入できる現代。
コーヒーはより私たちの身近な飲み物になりました。そういった背景もあり、コーヒーのクオリティも非常に高いものになってきています。
2000年代初頭に、品質の高いスペシャルティコーヒーが登場し、特別な一杯だったものが、スタンダードになりつつある今、なにを基準に店を選んでいますか？コーヒー好きなら、お気に入りの一店がある人がほとんどでしょうが、とくに若い世代はSNSにアップすることも目的の一つとしている人も多いのではないでしょうか。
そんな時代のニーズを満たしつつ、コーヒー好きをも満足させる店が2019年12月にオープンした『AIMAI』です。

店主のよんさんは韓国出身。12歳から青年期までを過ごしたニュージーランドではコーヒーブレンダーとして活躍し、ブレンドの世界大会での受賞歴も多数。なにより、コーヒーに対して、確かな哲学を以て、焙煎・ブレンド・抽出に挑んでいる姿が印象的なロースター兼バリスタです。
例えば、エスプレッソ。豆を細かく挽いて、圧力をかけながら抽出するコーヒーですが、同店の場合、リストレットと呼ばれる、エスプレッソとは異なる方法で抽出したコーヒーになっています。

よんさんは「コクや香りはしっかり感じられますが、苦味や酸味をそこまで強くないのがリストレットの特徴。圧力のかけ方、時間の経過でコーヒー豆からどのように味わいが引き出されるか理解した上で抽出するのが大切」と話します。
さらに同店は自家焙煎にも着手。豆はパプアニューギニアをベース(50％)にルワンダ(25％)とパナマ(25％)をブレンド。どの豆もブレンドに使用するのは珍しく、焙煎度合いとブレンド比率でダークチョコレート、ミルクチョコレート、アーモンドといったフレーバーを表現。ほのかにフルーツを思わせる香味も感じられます。「『フェレロ ロシェ』というチョコレートブランドのような味わいが理想。甘くて、万人受けするコーヒーというんでしょうか」とよんさん。ロースターやブレンダーは職業柄、ついつい自身の個性を前面に出しがちですが、あえて飲む人を選ばないコーヒーを目指す。これこそが『AIMAI』が多くのファンを獲得している理由の一つだと感じます。

そして、同店の真骨頂ともいえるメニューが“和”をテーマにしたドリンクやスイーツ。福岡県八女市産の抹茶やほうじ茶、鹿児島県産の黒蜜、福岡市内の老舗から仕入れるこしあんなど、九州産の素材を使うメニューが多数そろい、どれも思わず写真を撮りたくなるビジュアルに仕立てているのもさすが。もちろん吟味した素材を使っているので、どのドリンク、スイーツを選んでも満足度は高いはずです。

「和ドリンクや和スイーツをコーヒーと並ぶメニューの柱にしたのは、ゆくゆくは日本国内、海外への展開を考えているため。そうなったときに九州の素材を使うというのは、当店のマイノリティになると考えました。さらに、今の時代、来店のきっかけは“SNSを見て”となることが多い。ただ、再訪していただくには味わいが重要になってきます。そう考えると、九州産の品質の良い素材を使うのは必須でしたね」とよんさん。

頑固にコーヒーだけを追い求めるのではなく、多様なニーズに応えられるよう、柔軟にメニューを考案する。もちろん、すべてのメニューに求めるのはクオリティと、見た目にも楽しませる遊び心です。
アパレル商品や日用品を展開するオリジナルブランドにも着手するなど、コーヒーとサブカルチャーの融合にも積極的な同店。今後、『AIMAI』のようなスタイルの店が増えていけば、福岡のコーヒーシーンはさらに盛り上がりをみせていくのではないでしょうか。