住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
福岡のうまいものを探求するWEBマガジン「UMAGA」は、福岡のグルメたちを唸らせる記事が毎日更新されています。その中から、muto読者にオススメの情報をセレクトして定期的にお伝えします。今回はお祝い事に行きたいハレの日レストランを紹介します。
ストイックな情熱で艶やかな料理を生む、浄水通のフレンチ職人
『Restaurant Kazu(レストラン・カズ)』
2004年、警固で創業した「Kazu Kitchen(カズ・キッチン)」は小さなビストロでした。しかしオーナーシェフ・篠原和夫さんが皿に描く“食の芸術”は大器を予感させ、僕も幾度となく足を運んだものです。
そして2009年、「Restaurant Kazu(レストラン・カズ)」として浄水通に店舗を移すと、その才気と創造性は円熟に向かいます。2014年には仏の名門「ルージェ」社の国際フォアグラ料理コンテストで優勝し、名誉ある「フランス料理アカデミー」会員にも選出。「信頼のおけるレストラン」を聞かれたら、僕がまず思い浮かべるのがこの店です。
この日オーダーしたコースの1品目は、パルメザンチーズのブリュレ。キリッとした塩気に優雅な甘みと香ばしさが絡む、「Kazu」の定番アミューズです。
トマト風味のソースをロワイヤル(茶碗蒸し)にかけた秋のスペシャリテは、カニの魅惑を前面に押し出した一品です。ふわりとした歯応えのワタリガニは、ソースの中にも濃厚な出汁をたっぷり拡散。
今日最大の驚きはこれかもしれません。脂が乗った五島サバを軽く酢締めにし、臭みを抜いたあと焼きナスとともにテリーヌに。これを艶やかな庭園のごとく盛りつけた素材(新生姜とミョウガのソース、キャビア、うきはの梨のコンポートなど)と食すのですが、その味は想像をはるかに超えました。
篠原さんが得意とするオマール料理も、当然ながら破格の出来。この日はオマールの卵と内臓をピューレ状にし、身に浸してから焼くという珍しいピカタスタイルです。
あらゆる要素にエレガンスや志を秘めた「Kazu」のコース。何一つ揺るぎないクオリティで供される充足感は、今回も比類のないものでした。
孤高のレストランが描きだす、イノベーティブなグルメ体験
『TTOAHISU(トアヒス)』
フレンチをベースとしながら、その枠に収まらぬ斬新な料理でグルマンを虜にした「TTOAHISU(トアヒス)」。その後もミシュランで一ツ星を獲得するなど順風満帆。
その厨房には、脇目もふらず仕事に没頭する山下泰史さんの姿が。30歳で「Made in Japanのフレンチ」を掲げた「TTOAHISU」を開き、短期間で予約困難店にした辣腕のオーナーシェフです。「ジョエル・ロブション」などの実力店で研鑽し、25歳のときにはイタリアンの名店「アロマクラシコ」の料理長を任されました。
全10品のディナーは、スペシャリテのコンソメスープからスタート。1日目に地鶏でブイヨンを引き、2日目に和牛・黒豚・焼きアゴ・季節の野菜を加えて澄ませた贅沢極まる「ダブルコンソメ」です。
1週間寝かせた五島産のサワラは軽く炙って提供。香ばしくもねっとりした歯触りはヤミツキ級の悦楽でした。
その味や量に加え、火入れの完璧さに感動したのが肉料理です。繊細な肉質の北海道産ワインラムをオーブンで焼くこと約2時間。その間に“高温で焼き、休ませる”を何度も繰り返し、まとわせた弾力は実に官能的でした。
古今東西の料理エッセンスを、緻密な構成、自在な発想、練達の技法で描きだす山下さん。そのコースには、間違いなく初めて出逢う面白さがあります。それを支えるのは、早朝から深夜まで厨房に立ち、常に新たな料理を模索する情熱に他なりません。
「作りたいものは日々変わりますし、去年の料理はもう覚えていません(笑)。誰も手掛けていない料理を作る達成感と、それをお客様に楽しんでいただくこと。それが僕らの原動力です」。
「TTOAHISU(トアヒス)」の詳しい情報はコチラ
福岡市南区の一軒家で供される、比類なき創作フレンチの魅惑
『Nishimura Takahito La cuisine creativite(ニシムラ・タカヒト・ラ・キュイジーヌ・クリアテビィテ)』
住宅街の宵闇に、ぼうっと浮かぶ小さな山門が「Nishimura Takahito La cuisine creativite(ニシムラ・タカヒト・ラ・キュイジーヌ・クリアテビィテ/※以下「ニシムラ」)」の目印です。ここをくぐった美食家たちは数知れず。なにしろここは、福岡でも稀有な愉しみが待つ人気レストランなのですから。
人々のお目当ては、オーナーシェフ・西村貴仁さんによるきわめて独創的なフランス料理。和洋中の技法と叡智を織り交ぜた、斬新で非凡な世界観が繰り広げられると聞きます。この評判を確かめるべく、南区平和にある一軒家の扉を開けました。
今夜のオーダーは13,200円のコース。全18品もあるそうですが、メニュー表がないため流れがまるで読めません。が、よもや1品目がヤイトガツオの寿司だとは! しかもアップルビネガーを混ぜた温シャリに、ニラのペーストがコラボする“進化形”。これがなんとも新鮮な味わいで、初っ端から引き込まれてしまいました。
すっきり軽い後味のフォアグラにも目を見張りました。「低温で長時間加熱し、全重量の3割にあたる余分な脂を抜いています」と西村さん。
「魚料理と肉料理ではクラシックなフレンチをどうぞ」と供されたのは、半生で仕上げたサワラの炙り焼き。バターと生クリームを贅沢に使ったソースが王道の味わいで、創作料理から一転、ホッとする安心感に包まれます。
九州産黒毛和牛のヒレ肉も、赤ワインソースを合わせた伝統の一品。低温調理した肉の食感と、コク深いソースとのバランスが絶妙です。
昨年はラーメン専門店「ニシムラ麺」としてお昼の営業を始め、年明けからは「過去に類を見ない串料理」の店が本格始動するのだとか。こちらは週に4〜5日、21時からカウンターのみの営業です。ご期待あれ!
「Nishimura Takahito La cuisine creativite(ニシムラ・タカヒト・ラ・キュイジーヌ・クリアテビィテ)」の詳しい情報はコチラ
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