住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
バリスタが淹れた一杯を楽しめるのがコーヒーショップの醍醐味。まず味わいから違いますし、豆や抽出方法から選べるのもうれしいポイントです。なかでも、エスプレッソがベースのカフェラテは自宅ではなかなか作れないこともあり、注文する人も多いはず。そこに、思わず写真を撮りたくなるほどキレイなラテアートが描かれていたら、さらにうれしいですよね。今回は、そんなラテアートのお話。
福岡のラテアートと言えば、Connect Coffee
ひとくちにコーヒーと言っても、いわゆるブラックコーヒー、カフェオレ、アメリカーノ、カプチーノなど、さまざまな種類があります。なかでも、エスプレッソマシンがあるコーヒーショップで、必ずと言っていいほど人気なのが、カフェラテ。理由はさまざま考えられますが、ブラックコーヒーがあまり得意じゃない人でも、スチームドミルクが入ることで、まろやかで飲みやすい味わいになる点が一つ。そして、見た目にもワクワクさせられるラテアートを楽しみたいというニーズもあるでしょう。
ラテアートはバリスタの技術向上のバロメーターにもなっており、コーヒーフェストラテアート世界選手権、日本スペシャルティコーヒー協会主催のジャパン ラテアート チャンピオンシップ(JLAC)など、ラテアートの技を競うさまざまな協議会が存在。つまり、バリスタの技術の一つとして、世界的にも重要と考えられているということなんです。
それは、なぜか?「コーヒーの味わいには、関係ないんじゃないの?」「ラテアートをすることで、カフェラテがおいしくなるの?」といった疑問も浮かぶかもしれませんが、ズバリ、“ラテアートが素晴らしい店のカフェラテはおいしい”んです。
カウンター席、テーブル席、ソファ席を用意
その理由を知りたいなら、福岡で足を運ぶべき店は『Connect Coffee』。店主の安藤貴裕(あんどう・たかひろ)さんは、『UCCコーヒーマスターズ全国大会 ラテアート部門』で2013年3位、2014年1位、2016年2位と、国内大会で好成績を残してきた実力者。さらに2014年には、世界最高峰のバリスタが集う『コーヒーフェスト ラテアート世界選手権』で準優勝という快挙も果たしています。もちろん、それ以前にもラテアートを得意とするバリスタは全国に多数いましたが、安藤さんは日本におけるラテアートの価値を高めた一人と言っても過言ではありません。
ラテアートは付加価値だけど、おいしさの理由でもある
エスプレッソにスチームドミルクを注ぎ始めて…
徐々にミルクとエスプレッソが混ざり合い、模様が浮かび上がり…
一筆書きのようにラテアートが完成!安藤さんが得意とするのは、ミルクを注ぐアクションのみでラテアートを描くフリーポアと呼ばれる技術。一方でピックを使う技法はエッチングと呼ぶ
「世界クラスのバリスタが営む店だったら、敷居が高いのでは…」と思われたなら、心配は無用です。ラテアートを描いているところを見たい、写真を撮りたいと言えば快く「どうぞ♪」ですし、「コーヒーが苦手な人にも」という思いから、星野村産抹茶のラテといったコーヒーを使わないラテメニューを用意するほどカジュアルなスタイルです。
根本には「コーヒーは純粋においしいと思っていただくのが一番ですし、ラテアートも『すごい!おもしろい!』って感動してもらえたらうれしいから」という考え方があります。
カフェラテ(550円)。フリーポアで描いた模様に、一部ピックでアクセントを付けたラテアート。安藤さんオリジナルの「アンドリ」のアレンジ版
そんな安藤さんは、「僕にとってラテアートは趣味のようなもの。自分自身、楽しみながらやってきたので、今も続けられているんだと思います。ラテアートを描かなくても、おいしいカフェラテはあります。ただ、おいしいカフェラテに、+αでかわいいラテアートが描かれていたら、もっと楽しくて、うれしいかなって。そんなシンプルな考え方ですね」と話します。
カフェラテの味わいを左右するのは、ベースにあるエスプレッソの味わいと、スチームドミルクにも由来する口当たりや甘味。エスプレッソはマシンで抽出するため、だれが淹れても同じと思われがちですが、豆の挽き目(メッシュ)、抽出圧など、細かな部分までバリスタが日々調整しています。これがしっかりできていないと、豆が持っている甘味や酸味、苦味をバランスよく抽出できずに、エスプレッソ自体がおいしいものになりません。
安藤さんはちょうど10年前に本格的にコーヒー店で働き始め、その点を最も重視したそう。「練習と実用を兼ねて家庭用のエスプレッソマシンを購入して、コーヒー豆の良さをしっかり引き出すことができているか、という点に重きを置いて毎日家で抽出していました。ラテアートはその後に、自身の技を磨くために始めたおまけのようなもの。でも、おいしく抽出できたエスプレッソだと、ラテアートも上手に描けることに気付いて。もちろん、スチームドミルクの状態も重要なので、その点も自然とコツをつかんでいきましたね」と続ける。
おいしいエスプレッソは液体が程よく乳化し、良質なクレマが表面に浮かびます。さらに熟練のバリスタによってスチームされたミルクは口当たりにも起因するきめ細やかな状態になる。つまり、エスプレッソとミルク、2つの液体をどちらもベストな状態にできてこそ、ラテアートもキレイに描けるということ。これが、“ラテアートが素晴らしい店のカフェラテはおいしい”の理由というわけです。
安藤さんは研究熱心なバリスタ。ハンドドリップも豆やお客さんの好みに合わせてレシピを変える。ドリッパーは深いリブでガスが抜けやすいORIGAMIドリッパーを採用
ドリップコーヒー(450円)。豆はブレンド3種、シングルオリジン4種からセレクトできる
カジュアルにコーヒーライフを楽しんでほしい
フジローヤルの直火式5㎏とラッキーコーヒーマシン直火式1㎏の2台で焙煎。半熱風が主流の現代、直火式は珍しい
さらに、安藤さんはConnect Coffee開業後、自家焙煎にも着手。もともと深煎りのコーヒーが好きな安藤さんだけに、極端に浅煎りの豆はなく、中浅煎り・中煎り・深煎りをメインに展開。さらにそれには、もう一つ理由があると言います。「ご家庭で抽出しやすいコーヒーが、僕の焙煎におけるテーマ。浅煎りの豆は湯温、抽出時間などをシビアに意識しないと、どうしても雑味が出過ぎたり、甘味を引き出せなかったりします。逆に深めに焙煎した豆はストライクゾーンが広く、抽出時の失敗が少ない。ご家庭でハンドドリップされる場合、僕は豆量1に対して、湯量は15ないし16の比率を推奨しています。例えば豆12gだったら、湯量は180mlぐらいですね。まずは、この点を意識するだけでも、安定しておいしいコーヒーを淹れられると思います。あとは、日常的にコーヒーを淹れるなかで、湯温を少し下げてみたり、逆に少し上げてみたりするなどし、好みの味わいを見つけていただけたら」と安藤さん。
豆売りはハウスブレンドのConnect Blend、Connect Blend Classicが定番。100g680円〜
抽出や焙煎に対して、豊富な知識を有しつつも、だれでも日常的に楽しめるカジュアルなコーヒーライフを提案する安藤さん。Connect Coffeeでは初心者向けのラテアートセミナーなども定期的に行っています。コーヒーやラテアートに興味がある人は、気軽に相談してみてください。
店があるのは北天神エリアの裏通り
Information
店名
Connect Coffee
住所
福岡県福岡市中央区天神5-6-13
電話番号
営業時間
12:00〜21:00(緊急事態宣言中は11:00〜20:00)、日祝11:00〜18:00
定休日
火曜