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年末年始は「ハレの日レストラン」(和食・中華・イタリア編)|食の専門サイト”UMAGA”セレクト

公開日

muto編集部

福岡のうまいものを探求するWEBマガジン「UMAGA」は、福岡のグルメたちを唸らせる記事が毎日更新されています。その中から、muto読者にオススメの情報をセレクトして定期的にお伝えします。今回は、年末年始にオススメちょと贅沢な天ぷら、中華、イタリアンをご紹介します。

職人歴22年の匠が営む専門店で、“天ぷらの極み”を知る 天ぷら たなか

いまや全国に名高い食都・福岡ですが、こと天ぷらに関しては高級店・専門店が少なく、“凄み”を感じにくい料理と言えます。しかし昨春、その状況に風穴を開ける新星が警固に現れました。

名店「銀座 天一」に21年間在籍し、料理長も務めた生粋の職人・田中秀樹さんが開業した「天ぷら たなか」。日本料理店にも通ずる凛としたカウンター8席の空間で、心技を限界まで突き詰めた天ぷらを振る舞ってくれます。
メニューは昼夜ともに1種類。「お客様に“来て良かった”と思われるよう、僕は万全の準備を尽くすだけ。そのための妥協は一切しませんよ」。明るくそう笑い、田中さんは僕が頼んだ夜のおまかせ(16,500円)の支度に取り掛かりました。

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コースは5~6品の料理を織り交ぜながら、天ぷら13~14品を供するスタイル。食材はすべて田中さんが市場で手に取り、一つずつ吟味した高級品ばかりです。

理1品目は長崎産アラの刺身で、4日寝かせて引きだした歯応えが絶品です。昔は遠洋漁業の漁師だった田中さんだけに、魚介類への思い入れは人一倍。「現場の苦労を知るからこそ、漁師の方々の努力に応える料理にしたいのです」との言葉が印象的でした。

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さて、お待ちかねの天ぷらは、毎回カリッとした車海老の脚から始まります。田中さんいわく「正確な温度帯を見極めて揚げないと、これほど綺麗に海老の脚は開きません。職人の技量が出やすいタネなんですよ」その次に出された身は、1本目を高温で香ばしく、2本目を低い温度帯でふわっと揚げてあり、2つの異なる食感が楽しめました。

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神々しい天然舞茸も、口の中で香気が膨らむ美味に早変わり。それに続く、熊本産の原木椎茸に有明産芝海老のすり身を詰めて揚げた「天一」時代の定番も文句なしの味でした。

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「たなか」の天ぷらはとくに食感が秀でていますが、その秘密の一つが2種の九州産小麦粉を使った衣。日々の研究から見出した配合で、極上の味を表現しているのです。衣を溶く前に粉・水・卵の温度を揃えたり、天ぷらを3~4個揚げるたびに衣を攪拌しなおしたりと、事前の仕込みにも隙がありません。

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その後も上品な野趣が香るアスパラや、ふっくらした鐘崎産甘鯛の鱗揚げを堪能。どの天ぷらも完成度が高く、まさに至福の時間が続きます。そして、これを支えるのが何時間にも及ぶ膨大な下準備。魚種によって適切な水分を抜いたり、野菜一つひとつを個別に管理したり……と、聞くほどに一流の寿司店と変わらぬ仕事量に驚かされました。
「どれほど肉体的に辛くても、お客様の前では悔いのない状態で立っていたい」と田中さん。その言葉が示すのは、プロフェッショナルの魂に他なりません。

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そんな感慨の中でスッと出されたのはシメの天茶。すっきりと余韻が広がる、これ以上ない幕切れでした(シメは天丼も選べます)。

「天ぷら たなか」の詳しい情報はコチラ

中洲の超新星。凱旋の若き獅子が、日本料理とワインで魅せる 中洲 松

名古屋と大阪の二つ星店で研鑽したソムリエと料理人が、福岡に凱旋して独立――。今年7月、福岡の飲食業界に一つのニュースが飛び込みました。
ぐんと静けさのある那珂川沿いの中洲エリアに誕生した店の名は「中洲 松」。日本料理とワインで勝負する、期待の新星です。

重厚な造りの階段を上り、縦格子の戸を引き中へ入るとシックなカウンター席が目の前に。オーナーソムリエの松永新一朗さんと料理長の青木卓巳さんが、爽やかな笑顔で迎えてくれました。
松永さんは福岡、東京と経験を積んだ後、フレンチの名店・名古屋の「レミニセンス」で7年に渡り腕を磨いた実力派。「今までやった事のないものに挑戦したい。他とはひと味違うお店を造りたい」との思いで青木料理長を迎え、独立を果たしました。

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料理は前日までの予約制で、8〜9品を供する「季節のおまかせコース」(18,000円)1本で勝負。早速、その美味をいただきましょう。
ご紹介するのは7月のコースの一例です。着席してすぐに供されたのは、自家製の山桃シロップのソーダ割り。ゲストの目の前で氷を削り、器に注ぐという涼感溢れるおもてなしに心を掴まれます。続く料理1品目は「糸島とうもろこしのすりながし」。塩だけで味付けとは思えないほど味わい深く、添えられた唐津産赤雲丹の濃厚な甘味と調和します。

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椀物は「鮑真丈」が登場。塩味を抑えた出汁は、雑味のない綺麗な味わい。真丈と軟らかな蒸し鮑が合わさることで優しい磯の香りと旨味がぐんぐん高まり、口福な余韻を残します。

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移ろう季節を表現する割烹料理の花形「八寸」も腕の見せどころ。夏の掻敷である蓮の葉の上に、くらげの胡麻酢和え、無花果とシャインマスカットの白がけ、蕎麦粉生地に鮎味噌を挟んだ酒肴、鱧の子の塩辛、銀杏……と、山海の幸が美しく盛り込まれていました。

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「八寸」の後も「夏アラの木の芽焼き」に、お口直しの「自家製おきゅうと」、赤味噌の餡をかけた「熊本産夏鹿と茄子の炊き合せ」と、美味は止まりません。
旬の魚介は長浜鮮魚市場へ、野菜は糸島や朝倉へと毎日のように足を運び、自ら仕入れを行っている青木さん。「可能な限り地元産のもの、九州産の食材を使い、関西割烹料理を福岡で表現していきたい」と力を込めます。

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料理の締めくくりであるご飯には、熊本産ヒノヒカリなどの九州の米を厳選。白ご飯もあれば、写真のように出汁で炊き、焼いた鯛のアラをのせて蒸らした土鍋ごはんのことも。香ばしくふっくらとした鯛の身を混ぜ込んだご飯は、格別の美味しさです。お代わりは、鯛の刺身と特製の胡麻だれをかけた鯛茶漬けにしていただけるという嬉しいサービスも!

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そして、もう一つ見逃せないのが別室に設けられたワインバーです。コースのご予約状況にもよりますが、バーは基本的に21時から利用できるそう。

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限定6席というプレミアムシートなので、電話で席の状況を問い合わせてからお出かけくださいね。

 「中洲 松」の詳しい情報はコチラ

福岡イタリアン史に名を刻む、けやき通りの極上トラットリア Perché No!?(ペルケノー)

赤坂のけやき通りにオープンして22年。スタイリッシュな欧風の店構えもすっかり周囲の景色に馴染んでいます。オーナーシェフ・吉山武臣さんが営む福岡イタリアンの重鎮の一軒ですが、こちらもコロナ禍の影響を受けて、今春から営業体制に変更があったとか。その確認を兼ねて、久々に予約を入れてみました。

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イタリア各地で得た知見に自身の解釈を加えつつ、グルマンの心を射止め続ける吉山さん。内容変更については「原価高騰の折、いかに料理の質を落とさず、食材ロスを防ぐかなどを考え、3種類あったコースを9,460円一本に絞りました」と話してくれました。

前菜は2皿構成で、まずは国産甘カブをシルキーな口当たりにしたムースから(写真左)。上にはウニとコンソメを重ね、1杯目のスパークリングやワインが引き立つサッパリした仕上がりになっています。
続いては最上級のイタリア生ハム「クラテッロ・ディ・ジベッロ」を巻いた季節のフルーツ(同右)。この日は洋梨を使い、隣に水牛のモッツァレラを添えたクラシックな一品です。

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前菜が済むと、鮮魚料理の甘鯛の鱗焼が登場。色彩も含めた立体感が、まずは視覚を楽しませてくれます。焼きあがりも申し分なく、滋味なソースはさらに印象的。シェフが「スープ・ド・ポワソンの甘鯛バージョンです」と語る、甘鯛の骨と野菜で取った贅沢な旨味に思わずうっとり……。これだけでもおかわりしたい逸品です。

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昔から吉山さんのパスタに心酔する僕にとって、2種類のパスタが味わえることも大きな魅力です。最初はアラとポルチーニ茸のソースを和えたタリオリーニ(写真左)で、アラと昆布出汁がベースのソースが秀逸。
2品目のトウモロコシとポレンタを詰めたラヴィオリは、ラムのラグーソースでいただきます。吉山さんのラグーは常に最高ですが、これまたさすがの出来栄え。

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この日のメインは、あか牛内もものグリル。低温調理をかけた後、適切に余熱を通した赤身にはえも言われぬ歯応えが生まれます。その香気を膨らます、酸味の効いた黒オリーブソースとパルミジャーノの貢献ぶりも見逃せません。

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そして最後のドルチェは、ティラミスやカッサータなど8種類から選択可。この日は可憐な「冷たいリンゴのミルフィーユ見立て」をチョイスし、パリッと乾燥させたシロップ漬けのリンゴを、冷たいクリームとともにいただきました。

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これにドリンクが付いて、終始揺るぎないうまさにため息が漏れるコースは完結。久々の「Perche No!?」の味は、変わらぬ夢心地の連続でした。

「Perché No!?(ペルケノー)」の詳しい情報はコチラ

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