住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
毎日小学生新聞の大人気連載の書籍化。
子どもたちが日々感じているモヤモヤやちょっとした思いつきをお題に、憲法学者・木村草太氏が、日常生活と憲法のむすびつき、知っておきたいキーワードについて解説します。
憲法を自分の問題として理解し、考え、使えるようになる、
はじめての憲法入門書。
毎日小学生新聞の連載を書籍化した。
上巻に52、下巻に53、計105の「おはなし」が掲載されている。
毎日小学生新聞は週刊なので、約2年分の連載が収められていることになる。
ひとつひとつの「おはなし」は短い。
本文は見開き1ページ、それぞれに朝倉世界一による漫画が1ページ加わる。
本文の前半は小学生の日常にありそうなエピソードを、著者自身が小学生だった頃を思い出しながら語るという体裁で、その登場人物(小学校時代のクラスメイトという設定)がコミカルなキャラクターとして描かれる。この前半は「つかみ」だ。
後半、そのエピソードを受けて、「憲法では~」と日本国憲法の条文解説に繋げる。
繋げるといっても、前半のエピソードを憲法の条文に照らして解釈するような構図には必ずしもなっていない。
どちらかといえば、「ついでに言うと」くらいの軽さで、前半から後半に進んでいく。
この軽さが、他の憲法入門書にはない特徴だ。全篇読んだところで、日本国憲法の全貌が見えてくるわけでもなく、「勉強した」という実感はあまり得られないだろう。
では、この本は何を狙っているのか。
私の解釈では、この本が提供している価値は、「論理的に考えることの楽しさを知る」この一点にある。
もう少し砕けた言い方をするなら「理屈っぽいのって、おもしろいねー」ということだ。
実は前半の小学校エピソードの中に、その種が仕込まれている。
子どもならではの屁理屈も突飛な発想も、「いやいや、それはないだろー」と常識的に突っ込むにしろ、「案外、そういえなくもないか」とうっかり納得するにしろ、いったん真に受けてみると「おもしろい」。
そのおもしろさは、思い込みに頼って反射的に答えを返すような思考ではなく、「それって、どういうこと?」と掘り下げて考えるおもしろさだ。
本書は、法的思考に欠かせないこの態度を、ほとんどふざけているようにしか見えない軽いエピソードの中で育もうとしている。
木村草太は、憲法学者としてテレビや新聞にもよく登場する論客だが、彼の論説もまた、「え?そんな解釈、成り立つんだっけ?」と時に人を驚かせるほどのおもしろさに満ちている。
おかしな現実をいったん真に受けて、それからじっくり掘り下げて考える法的思考のおもしろさ。本書はその超入門なのだ。
著者プロフィール
木村草太
1980年生まれ。首都大学東京法学部教授。専攻は憲法学。著書に『憲法の急所』『キヨミズ准教授の法学入門』『憲法の創造力』『集団的自衛権はなぜ違憲なのか』など、編著に『子どもの人権をまもるために』など。
朝倉世界一
1965年生まれ。漫画家。著書に『デボネア・ドライブ』『おれはたーさん』『春山町サーバンツ』『モリロクちゃん』など。
インフォメーション
書籍名
ほとんど憲法(上・下)
著者名
木村草太・朝倉世界一
価格
上・下巻各 ¥1,500(税別)
発売日
2020年2月
ISBNコード
9784309249490/9784309249506
WEB
http://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309249490/