住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
宮崎には、朝には朝のうどん文化が、昼には昼のうどん文化が、そして夜には夜のうどん文化がしっかりと存在する。それって、実にすごいことだ。宮崎県だったら、うどん県を名乗っても良いのではないかとさえ思う。うどん好きなら、1日3食、おいしいうどんが待っている。そんなうどんパラダイス・宮崎のうどん文化をご紹介。
宮崎県で朝から晩までうどん三昧!
宮崎県に出張が入った時の嬉しさといったら、それはうどんフリークのぼくにとって何よりの喜びだ。朝、昼、夜、うどんが楽しめる県が、この日本の地にほかにあろうか。いやない。そう断言したい。
讃岐うどんの聖地、香川県はどうか。確かに朝、昼は磐石だ。ただ、飲んだ後にうどんで締めるという話はそれほど聞いたことがなく、夜におけるうどんの印象は薄い。では、ぼくが暮らす福岡はどうか、昼はもちろん、最近ではうどん居酒屋という文化が浸透してきているので夜にもうどんが親しまれている。ただ、朝食にうどんを食べる習慣があるというほどに朝うどん文化は成熟していないように思う。
写真は重乃井の釜揚げうどん
そんな中、宮崎では、朝昼晩、どの時間帯にもうどんが楽しめるのだ。これからそれぞれの時間帯におけるうどんの魅力に触れていこうと思うが、その前に、なぜ宮崎にこれほどうどん文化が根付いているのだろうという疑問を解消しておきたい。
やっぱり、「釜揚げうどん」の存在が大きいとぼくは考えている。言わずと知れた宮崎のご当地うどんだ。
この釜揚げうどんを宮崎でいち早く提供し始めたのが、1966年に創業した老舗「重乃井」。店主の伊豫展子さんの義母にあたる美津子さんの出身地である香川県の讃岐うどんの味を広めようという思いから誕生した店で、手打ちのうどんをストレートに味わい尽くせる釜揚げうどんが看板メニューだ。この釜揚げうどんが人気を博し、今では宮崎イコール釜揚げうどんというほどのソウルフードになった。
プロ野球のキャンプ地としても知られる宮崎。キャンプシーズンには多くのファンの熱気で沸く。そんな中、有名選手御用達の釜揚げうどんも存在し、まさにその代表格こそ「重乃井」なのだ。
「重乃井」で楽しめる釜揚げうどんは、まず出汁で魅せる。個人的にはいりこ出汁のイメージのある宮崎なのだが、重乃井では未使用。北海道産の昆布を贅沢に使い、そこにカツオ節やサバ節を合わせる。こうして引いた出汁に醤油などを合わせたつけ汁に茹でたてあつあつの麺をざぶんとくぐらせて食べる。
その麺は創業以来、手打ち仕上げが信条。ふるふるとやわらかな麺は、噛み締めるとしなやかなコシが堪能できる。
料理自体はとてもシンプルなはずなのに、気がつけば夢中で啜ってしまう。
食後は、うどんの茹で汁をつけ汁に投入し、最後まで楽しむのが宮崎スタイルであることも忘れずに。
朝にも、夜にも、食べたいうどんがある!
宮崎にはなぜか早朝から開いているうどん店さんが多い。サーファー文化があるからか。単純にうどんが好きだからか。いろいろと考えていたが、なんとなく、ぼく個人の感覚からすると、おいしいうどん店が朝から開いていたというのが先にあり、それでうどんを朝に食べる習慣が生まれたように思う。
数ある朝うどん提供店の中でも、その代表格とも言えるのが1932年に創業した老舗「三角茶屋豊吉うどん」。ふわっとやわらかい食感のうどん、いりこ(煮干しのこと)の出汁が効いたつゆという、宮崎うどんの王道たる組み合わせだ。
朝うどんの真骨頂はその破格ともいうべき安さと味の良さ。以前食べた「朝うどんセット」の写真が残っていたので、それが美味しそうに撮れているので参考に載せているが、なんと、かけうどんと小鉢、生卵、ご飯で290円。あまりに安くて申し訳なかったので、欲張ってごぼう天を追加したけど、それでも400円以下。
平日の朝6時から10時までという時間限定ではあるが、これを知ってしまうと、朝、宮崎に居て、うどんを食べないという選択肢はない。
飲んだ後に釜揚げうどんを食べる。これが宮崎の夜のマナーだと教えられた。ちなみに、その釜揚げうどんだが、居酒屋で提供しているという話を、ぼくは全然知らない。飲んだ後、うどんの専門店に流れるという、そういうあり方が尊くて良いなと思っている。
そんな夜の締めとして釜揚げうどんが満喫できる提供店はいくつもあるが、1967年創業という老舗「釜揚げうどん戸隠」を押さえておきたい。
最大の見せどころが、麺の太さ。飲んだあとにするっと入る上に、茹で時間も短くなるという、夜営業にいいこと尽くめな細麺なのだ。細いけれど、しっかりとコシもあり、口当たりはやさしい。なんというか、飲んだ後にすごくホッとする塩梅だ。
つゆはずっと変わらない味わい。店主の母の叔父にあたる人物が料亭で働いていたこともあり、その叔父から手解きを受けたそう。そのため、土台には日本料理の出汁の引き方があるのだと店主は教えてくれた。土台になる昆布とカツオ節でしっかりと出汁を引き、醤油とみりんによって調味する。それ以外に余計なものは入れないという極めてシンプルな手法だが、だからこそ、多くの人を喜ばせるレベルに仕上げるのは難しい。このつゆに浮かぶ揚げ玉、そして底に沈んだユズのフレーバーがアクセントだ。
朝、昼、夜、どの時間帯でも完璧なうどんが食べられる宮崎県。そろそろ“うどん県”宣言しても良いのではと、ぼくは真剣に思っている。
記事:ヌードルライター 山田祐一郎
*記事中に記載されている価格は取材時のものです。その後変更になっている場合があります。
今回紹介したお店はこちら
店名
釜あげうどん 重乃井
住所
宮崎県宮崎市川原町8-19
連絡先
営業時間
11:00~18:45
※完売次第終了
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間・定休日等が記載と異なる場合がございます。ご来店時は、事前に店舗へご確認をお願いします。
定休日
金曜
※金曜日が祭日の場合は木曜日が休み
店名
三角茶屋豊吉うどん
住所
宮崎県宮崎市大坪東3丁目1-3
連絡先
営業時間
6:00~20:00
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間・定休日等が記載と異なる場合がございます。ご来店時は、事前に店舗へご確認をお願いします。
定休日
1/1のみ
店名
釜揚げうどん戸隠 本店
住所
宮崎県宮崎市中央通7-10
連絡先
営業時間
19:00~翌2:00、
土曜 19:00~翌2:30
※新型コロナウイルスの影響により、営業時間・定休日等が記載と異なる場合がございます。ご来店時は、事前に店舗へご確認をお願いします。
定休日
日・祝