年越しそば発祥の地は博多?|年の瀬に食べたいそば店3選

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ヌードルライター 山田祐一郎

年末といえば、年越しそば。ところで、その年越しそばの発祥の地が博多だ、という説があることをご存知でしょうか。それは鎌倉時代までさかのぼる人情のお話。そんな年越しそばのエピソードで心を温めたあとは、お気に入りのそばを食べて新年を迎えましょう。選りすぐりの福岡市内、その近郊のおすすめそば店をご紹介します。

年越しそば発祥の地は博多だった?!

師走です。いよいよ年の瀬が近づいてきました。いろいろあった一年。本当にあっという間だったような、とても長かったような、不思議な感覚です。

さて、年末といえば、ヌードルライター的には、そして製麺所の代表としても、忘れてはならないトピックがあります。そう、年越しそばです。ところで、その年越しそばの発祥の地が「博多」という説があることは、意外と知られていないかもしれません。

うどん発祥の地(※諸説あり)とされる博多。そのうどん文化を博多にもたらしたのが臨済宗の僧・聖一国師です。中国に渡った聖一国師は、仏教の教えを現地で学んだ際、同時に製粉文化を日本に持ち帰ってきました。その製粉文化を用いて小麦を小麦粉にすることが容易になり、高級な貴族のための小麦粉が庶民に普及するきっかけを作ったのです。というように、聖一国師はうどんを博多にもたらした立役者ですが、この聖一国師を助け、中国の往来を支えた人物がいます。それが、博多で暮らしていた貿易商・謝国明。実はこの謝国明の行いが年越しそばのルーツになったのだとか。

承天寺にある「饂飩蕎麦発祥之地碑」。しっかりと蕎麦の文字が刻まれています。

ある飢饉の年、満足に食事がとれず、飢えて、このままでは年が越せないという博多の人々に、謝国明がそばを振る舞ったそうです。ただし、その頃はそばを麺の状態にする技術は普及していなかったので、「そばがき」のようなものだったといわれています。このそばがきを食べて新しい年へ希望を持った人たちに翌年、幸福がもたらされたそうです。これが年越しそばのルーツの一つとして、語り継がれているのです。

このエピソードにちなんで、博多では大晦日の夜に食べるそばは、幸運を運んできたそば“運そば” “福そば” と呼ばれています。

年の瀬に食べたい!福岡市、福岡市近郊のおすすめそば店

年越しそば発祥の地という説が語り継がれる博多、ひいては福岡のおすすめのそば店を紹介したいと思います。

まずはけやき通り沿いに店を構える「赤坂けやき通りむらた」。こちらは福岡の有名そば店「信州そば むらた」の姉妹店です。この店の店長であり、2代目の村田さんは関西の有名そば店で修業を積み、むらた伝統のそばに新たな風を吹き込んだ人物です。

福岡の老舗そば店の遺伝子を受け継ぎつつも、関西の粋なそば文化を取り入れたこの店は、ファサードからセンス抜群。とりわけ作家による作品を所々に散りばめたエントランスは、純粋にかっこいいと思わせる設えで、そばに敷居の高さを感じる若い世代の心をもキャッチしています。

自家製粉のそばのクオリティは言うことなし。温かいそば、冷たいそば、いずれも基本のメニューにおける品数が多彩で、そこに加えて季節のそばが加わる充実のラインナップが嬉しい限り

店名

赤坂けやき通りむらた

住所

福岡県福岡市中央区赤坂3-9-28 大産赤坂ビル102

予約・お問い合わせ

050-5595-3618

 
 
次に紹介したいのが、福岡市内でも天神エリアからやや離れた荒戸で店を営む「蕎麦 木曽路(きそじ)」。

玄そばで仕入れ、自家製粉する自慢の石臼挽きそば粉によるそばは、かけでも、せいろでも格別な風味の良さ。あたたかいそばはそばそのものの際立つ風味に加え、しっかりと出汁の効いたつゆが絶品です。出汁の厚みがくっきりと浮かび上がっていて、思わず口角も上がります。冷たいそばなら、そのシュルッと口に収まる口当たりの良さに感動すること請け合いです。

冷たいそばなら「天せいろ」がオススメ。天ぷらのクオリティに大満足間違いなしです。数量限定の鹿児島「福留小牧場」のサドルバックを使った贅沢なカツ丼も最高ですよ

店名

蕎麦 木曽路

住所

福岡県福岡市中央区荒戸1-10-13

お問い合わせ先

092-712-8253

 
 
最後はわざわざ足を運ぶ価値がある太宰府の至宝、「そば処 一耕」です。この店は北九州のそばの名店「そば処 芭蕉庵」で腕を磨いた店主・宮野さんが切り盛りしています。「町のそば屋」を目指してきた「一耕」に僕が通う理由は、第一に研究熱心な宮野さんの人柄に惹かれているから。

そばは自家製粉による手打ちの十割がメインで、そのそばの産地の開拓にも余念がありません。初めて出会ったときに使っていたのは福井市在来種、常陸秋そばでしたが、その後もその年、その年で良い品種があれば柔軟に取り入れています。それまで食べたことがなかった長崎県・対馬産のそばを初めて食べた時はその風味の豊かさに目を見開き、感激しました。

石臼挽きの自家製粉によるそば粉を使った十割そばなのに「町のそば屋として気軽に食べてほしい」という思いから価格も抑えられていて文句の付けようがありません

店名

そば処 一耕

住所

福岡県太宰府市観世音寺1-7-6

お問い合わせ先

092-925-7565

 
 
ここでは一度に紹介しきれないくらい、年越しそば発祥の地、福岡には素晴らしいそばのお店がたくさんあります。ぜひお気に入りのそばで、良いお年をお迎えください。

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