サイドニューの素晴らしさを力説した前回のラーメン編。今回はうどんのサイドメニューについて熱く語っていきます。

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ぼくの生まれ育った福岡におけるうどんのサイドメニューというと、パッと頭に思い浮かぶのは“天ぷら”や“ご飯もの”でしょうか。どちらもうどんとの相性は抜群ですが今回は温かいつゆで楽しむうどんが主流の福岡らしく、つゆにぴったりのご飯ものに注目してセレクトしました。

福岡のうどんのお供といえば、まずは「かしわめし」でしょう。かしわめしこそ、キングオブザ福岡うどん的サイドメニュー。このかしわめしについては提供スタイルが大きく2パターンあります。それが、おにぎりにしているお店と、炊き上がったそのままを茶碗によそってくれるお店。

どちらにも良さがありますよね。おにぎりにしている場合、すでにご飯は冷めている状態です。ホカホカではありません。この温度帯が、あったかいうどんのつゆとバッティングせず、見事なまでのクールダウンを口中にもたらしてくれます。熱々のつゆを口に含み、その出汁の旨味が口の中に残っている間にかしわめしのおにぎりを頬張る。この繰り返しによって、確実に高まっていく自分がいるのです。

冷めることでかしわめしの味わい、特に塩分の利かせ具合がよくわかるのも良いですね。好みの味付けのかしわおにぎりに出合うと、ついつい追加注文してしまいます。

一方、炊飯ジャーなどに保温されたかしわめしを茶碗で提供してくれる店は、そのかしわめしのホカホカぶりに思わず笑みがこぼれます。

温かさというのはここまでかしわめしを立体的に、表情豊かにするのか。大袈裟かもしれませんが、ぼくにはそう思えてなりません。しっとりと、旨味のエキスを蓄えた米粒の一粒一粒が魅惑の味わい。具材の肉、ゴボウやニンジンといった野菜が、そのあたたかさによって、しっかりとポテンシャルを発揮しているように思えます。

やや脂っこいかしわめしの場合、おにぎりにして冷めているとそのパンチがモロに舌に伝わってきますが、あたたかい状態だとすいすいと食べられるんです。その美味いこと、美味いこと。あたたかいつゆのうどんを食べている時には、熱×熱の相乗効果によって、食欲に拍車がかかります。もう、止まりません。

おにぎりでも、茶碗でも、最高。つまりメニューにあればオーダー必至です。

ところが、メニューにいなり寿司もあるとなると、頭の中は大混乱。
よく知っていますから、いなりとうどんの相性の良さを。甘辛く煮てある油揚げで酢飯を包むいなり寿司は、甘さとしょっぱさと酸っぱさの三位一体こそが真骨頂。ひと口、頬張れば、じゅわっとエキスが滲み出てくるあの感じ、もはや口が覚えてしまっています。あたたかいつゆを含んで潤った口の中を、いなり寿司はその延長で潤してくれるような存在。やっぱり恋しい一皿です。

ところで、このいなり寿司にもバリエーションがあります。わさびを効かせたり、中身のご飯に混ぜ物をしたり、創意工夫をする店もあれば、いなり自体を大胆にアレンジしている店もあるんです。
その一つが揚げいなり。なんといなり寿司を天ぷらのように揚げてしまうこの一品。いなり寿司そのものの美味しさがありつつ、そこにサクッとしたテクスチャーが加わる官能的ないなり寿司なのです。

かしわめし、いなり寿司という、うどんにおけるご飯ものの２大サイドメニューが君臨する中、忘れてはならないのが丼物。丼だけでもバリエーション豊富ですから、こちらはまた別の機会に。