住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
今日も暑い一日なりそうです。そんな天気予報に超煽られる日々が続いています。厳しい暑さは、外へ出掛けるモチベーションだけでなく、食欲をも奪いがち。きっと「目下、夏バテ中です」という人も多いことでしょう。夏になると、ざるやせいろの蕎麦をはじめ、冷やし中華、ざるうどん、そうめんなんかが食べたくなるもので、やはり、つるっと、そしてひやっと楽しめる麺料理は食欲減退中の体も心も癒してくれます。そこで今回は、冷たい蕎麦や冷やし中華、ざるうどんといった夏の王道的な冷たい麺ではなく、暑い時期にぴったりな“一杯”をご紹介します。
“夏麺”の大本命「冷やしラーメン」
今回は王道の冷たい麺ではなく、これからますます注目されそうな冷たい麺料理をご紹介します。
山田的、大本命の“夏麺” が冷やしラーメンです。最近では福岡でも、ちらほら提供店も増えてきて、実際に食べたことがあるという人も多いかもしれません。これはその名称が表現している通り、スープも麺も冷たいラーメンのこと。一般的なラーメンが、そっくりそのまま冷たくなった料理をイメージしてください。基本的にはスープは醤油味で、山形では冷やしラーメンは郷土料理として地域に浸透しています。
冷やしラーメンに夢中になったきっかけは、東京に住む麺好きな友人のおかげで名店の冷やしラーメンをいくつか集中的に食べた時。「清涼感がある」「食べやすい」といった簡単な感想では言い尽くせない、そう、溢れんばかりの魅力を備えた一杯ばかりで、完全に冷やしラーメンの世界に目覚めてしまいました。以来、夏になると自然と冷やしラーメンが食べたくなるように。ここ福岡でも提供店がいくつか登場し、食べたい欲求も県内で満たされるようになりました。
一杯目「ラーメン屋 游(ゆう)」
3年前から毎年、冷やしラーメンを提供している、冷やしラーメン愛好家の中では知られたお店です。まだ今年の冷やしラーメンはリリースが7月中旬ということで、記事執筆時点では今年の冷やしはまだ食べれていませんが、間違いない一杯だと太鼓判を押します。
なぜ断言できるのかというと、実は2年前、「游」では、冷やしラーメンを「白」「黒」という2種類、用意していました。前者が塩ベース、後者は醤油ベースのスープで、どちらも食べましたが、それぞれに趣向が凝らしてありました。その翌年にあたる去年、あまりに仕込みが大変ということで「白」に絞って提供。そして今年は「黒」を出すという話なのです。
今年の「黒」はどんな進化を遂げているのか、期待に胸が膨らみます。
写真は昨年提供の「冷やしラーメン(白)」。煮干しの風味がアクセントになってはいますが、感じられるのは複雑な旨味の集合体。冷やしだとスープが冷たくなるため、ラードなどの脂分は白く凝固し、使えないので、出汁自体でどれだけ納得できる旨味を構築できるかが鍵だと思うわけですが、その構築におけるバランスが秀逸です。そして、ここは自家製麺。この冷やしにぴったりな、ちゅるっといける厚み、リズム感が生まれる心地よい弾力が絶妙な平打ち麺です
「游」は餃子も最高に美味。ぜひ冷たいビールと一緒に!
二杯目「中華そば かなで」
「中華そば かなで」らも近年、毎年、冷やしラーメンを出しているお店です。「冷製煮干しそば」と書かれたお品書きには、「煮干しが苦手な方はお断り」の文字。そうなんです、ここの一杯は煮干し出汁が炸裂しています。
麺は自家製。全粒粉が練り込まれていて、噛み締めるほどに小麦の風味が広がります。しっかりと冷水で締めてある麺は中太くらいの太さで、コリっとしたコシが感じられました。一杯を食べ終えた時、清涼感とともに、胃の、舌の心地よさを体感できるはずです。
「中華そば かなで」の「冷製煮干しそば」。夏野菜からの旨味エッセンスが溶け出したスープは、煮干しのエグみはやわらかく、煮干しだけが突出していない点に作り手のセンスを感じます。無化調を謳う店だけあり、このスープを飲み進める中での気持ちよさも魅力の一つ
「かなで」はサイドメニューの美味しさにも定評あり。写真はラーメンとセットにできるミニトマト丼です
三杯目「麺酒場 朱拉(しゅら)」
2019年にオープンした比較的新しいお店で、屋号の通り、夜はちょい飲みも楽しめます。こちらの看板メニューが辛酸っぱさがクセになる酸辣湯麺。「製麺屋 慶史」による特注の細麺がとろみのあるスープに絡みます。
そんなホットな看板メニューに負けないくらいアツい一杯だったのが、たまたま店内のPOPで知った「冷やし梅肉ラーメン」です。調べてみると、去年も提供していたメニューのようで、昨年からの連投とあれば、自ずと期待も膨らむというもの。
「朱拉」の「冷やし梅肉ラーメン」。醤油の豊かな旨味が食欲を掻き立てる一杯。スープを口にしてみれば、一口目に旨味とともに塩気がしっかり伝わってきます。この塩気を軽やかにほぐすのが梅肉の存在。梅肉には鰹節も練り込んであるようで、崩してみるとスープに酸味、そして魚介の旨味が溶け出し、うっとりするほどの美味に。そしてこの旨酸っぱいスープを絡め取るのが特製の平打ち麺です。幅4〜5mm、厚みが1mmくらいの平べったい形状で、口当たりがよく、この一杯における清涼感をグンと引き上げます
上から見た冷やしラーメンの佇まいの美しさに惚れ惚れします
冷やしラーメンはまだまだ他にも提供店があります。ぜひ近くのお店で見つけたら、食べてみてください。冷やしの素敵な世界が待っていますよ。また、冷やし担々麺も個人的に熱い視線を注いでいる注目麺です。こちらはまた別の機会にご紹介します。
今回紹介したお店はこちら