住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
「アジアのベストレストラン50」2021年の受賞レストランは、3月25日、世界中の視聴者にストリーミング配信されるバーチャル授賞式で発表されました。日本では、日本のレストランの受賞を讃えるオンラインセレモニー発表会が、ザ・カハラ・ホテル&リゾート横浜で開催されました。
アジアの食の世界で高い評価を得た日本のレストラン
アジアの食の世界に顕著な才能と献身を称えた地域のシェフや、コロナ禍で革新性を発揮したリーダーを表彰することを目的とした「アジアのベストレストラン50」はこれまでにシンガポール、バンコク、マカオなどで開催されてきました。昨年の授賞式は、日本で初めて佐賀県猛雄市で開催予定でしたが、コロナ禍の中、残念ながら中止に。2021年の授賞式は、3月25日にオンラインで行われ、アジア中のシェフ、レストラン、ジャーナリスト、ガストロノミーたちが注目する中、日本からは9店舗がランクイン。九州・福岡に縁があるシェフ達の喜びの声を聞いてきました。
福岡・九州では唯一「La Maison de la Nature Goh」が5回目となるランクイン
2016年に初めてランクインしてからずっと慌ただしい時間を過ごしていたので、この一年は今後のレストランの在り方など足元を見つめ直す良い機会となりました。また、こんな時期だからこそ来店していただけるお客様やサポートしてくれるスタッフの有り難さを感じた1年でした。昨年末に閉店して新店舗をオープンする予定でしたが、1年延期したので新しい取り組みにチャレンジして行きたいですね。(福山剛シェフ)
福岡市西中洲「La Maison de la Nature Goh」の福山剛シェフ
3位にランクイン。「傳」は4年連続で「The Best Restaurant in Japan」のタイトルを獲得
コロナ禍で制約はありますが、お客様と直接会って一緒に過ごせるひと時が何より楽しい時間です。「食ベる」ということは、その行為だけでなくて「誰と食べるか?」「どこで食べるか?」という、みんなで一緒に食事ができる“環境”が特別なことなんだとか、「お客様が来てくれた」とか「毎日食材を届けてくれる」とか、今まで当たり前だったことをより大切に感じるようになった一年でした。
九州・福岡は、地元の方達がいつも温かく迎えてくれるその人柄が大好きです。色んな生産者や料理人の方ともっと交流していきたいですね。(長谷川シェフ)
福山シェフ初め福岡の料理人とも交流が深い「傳」の長谷川シェフ
奄美大島出身「La cime」高田シェフは8位にランクイン
東京以外のエリアは、全て地方だと思っているんですが、そのひとつである大阪の店がアジアの一桁にランクインしたってことにまだ実感が湧きません。コロナ禍でも料理のInstagramは上げ続けたり、テイクアウトを始めたり、そんな活動がみなさんに愛されているからなのかなと感謝の気持ちでいっぱいです。これまでやったことがないテイクアウトやロールケーキの販売など、見えないお客様にどのようにメッセージを伝えるのか?画像の撮り方であったり、ひとつひとつ手を抜かず真剣に取り組んでいると新しい発見が見えてくるんです。レストランやホテルの監修も次のステージを発見するためのチャレンジ。新しい「頂き」を目指してこれからも頑張ります。(高田シェフ)
「La cime」の高田シェフ。店名の由来はフランス語で「頂き」
2021年ランクインした日本のレストランはこちら
日本は50位内に9店舗、うち4店舗はベスト10入りの躍進。「傳」は、4年連続で「The Best Restaurant in Japan」の称号が授与。前年から29位上げて19位に選ばれた東京の「L’Effervescence」(レフェルヴェソンス)は、「The Beronia Highest Climber Award」 を受賞しました。1位には初めて香港のレストラン「The Chairman」が選出。
3位 傳(東京)
7位 Florilège(東京)
8位 La Cime(大阪)
9位 Narisawa(東京)
12位 茶禅華(東京)
19位 L’Effervescence(東京)
27位 Ode(東京)
30位 La Maison de la Nature Goh(福岡)
35位 日本料理 龍吟(東京)
50-100の新ランクで北九州の「天寿し京町店」がライクイン
2021年度は、これまでとは異なり、51位から100位までのレストランリストを発表。これは、アジアのさまざまなレストランにスポットライトを当てることで、食を愛する人々が今後の食事や旅行のプランを立てる際に活用していただくことを目的としています。ここにも日本のレストラン9店舗がランクイン。東京が多数を占める中、和歌山の「Villa Aida」や北九州市の「天寿し 京町店」が選出されました。地産地消を推進し、料理を通して文化を伝える「ローカルガストロノミー」は今後も注目の的です。
51位 すぎた(東京)
53位 Quintessence カンテサンス (東京)
54位 Il Ristorante Luca Fantin (東京)
57位 鮨 さいとう(東京)
64位 Villa Aida(和歌山)
71位 天寿し 京町店(北九州)
83位 été(東京)
85位 Sugalabo(東京)
91位 Cenci(京都)
「ななつ星ムービー」にも出演。アジアのベストレストラン50チェアマンの中村孝則氏。
主催者としても色々な意見があったようですが、「世界のシェフを応援するという意義」を貫き、オンラインセレモニーを開催出来て本当に良かったと思っています。コロナ禍の中、一年以上苦労されたと思うんですが、シェフの皆さんがこの場で再会して喜びを分かち合うシーンを間近に見れて私自身が感動しました。50-100位のランキング発表は、私がずっと提案し続けていたこと。京都や和歌山、北九州といった東京以外の地に食をキーワードとしてスポットライトを当てることが出来て嬉しいですね。
九州は「食の地政学」上、アジアの重要な位置をしめていると思っています。最近「ななつ星ムービー」の撮影で何度も九州を訪れましたが、人をもてなす熱いパワーを感じます。この熱量でコロナ後の日本、そしてレストラン業界を牽引して欲しいですね。
「ななつ星ムービー」にも出演されている中村チェアマン
コロナ禍の苦難の中、発表された「アジアのベストレストラン50」。2022年は旅や飲食に自由が戻り、華やかなステージが開催されることを願うばかりです。
アジアのベストレストラン50とは
毎年発表さている「アジアのベストレストラン50」は、「アジアのベストレストラン50アカデミー」の投票により決定されます。フードライターや評論家、シェフ、レストラン経営者、地域の料理専門家など300人以上のリーダーが、男女のバランスが50対50で構成されています。今年の投票では、旅行の機会が制限されていることを考慮し、ローカルレストランでの食体験をより重視するよう調整されています。
アジアのベストレストラン50公式HP