高畑勲展

『高畑勲展』〜日本のアニメーションに遺したもの〜
福岡市美術館で開催決定!

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muto編集部

「アルプスの少女ハイジ」 オープニング原画 (作画監督修正) ©ZUIYO・「アルプスの少女ハイジ」 公式ホームページhttp://www.heidi.ne.jp/

日本のアニメーションを牽引し続けたアニメーション映画監督・高畑勲氏(1935~2018)の資料を一堂に紹介する 特別展「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」が福岡市美術館で2021年 4月29日(木・祝) ~ 7月18日(日) の期間開催されます。

「日本人が日本のアニメーションを作る、 とはどういうことか、いつも考えていました。」高畑勲

日本のアニメーションを牽引し続けたアニメーション映画監督・高畑勲氏(1935~2018)の資料(制作ノートや絵コンテ、原画、背景画、映像等)を一堂に紹介する 特別展「高畑勲展 日本のアニメーションに遺したもの」が2021年 4月29日(木・祝) ~ 7月18日(日) の期間、福岡市美術館で開催されます。

高畑勲展

「アルプスの少女ハイジ」©ZUIYO

九州初の展覧会

本展は、絵を描かない「演出家」である、高畑演出のこだわりを、 「制作ノート」、「絵コンテ」、「原画・セル画」、「映像」などによって明らかにするとともに、その「こだわり」がどのように日本のアニメーション形態を進化させ、 他の作品に影響を与えていったのかを通観できる展示となっており、すでに東京・岡山会場では好評を博した展覧会で九州では初めての開催となります。

高畑勲展

写真は岡山会場のもの「アルプスの少女ハイジ」 ©ZUIYO

第1章 出発点
アニメーション映画への情熱

高畑勲氏は1959年に東映映画(現・東映アニメーション)に入社し、アニメーションの演出家を目指します。
演出助手時代に手がけた「安寿と厨子王丸」(1961)に関しては、新発見の絵コンテをもとに若き日の高畑氏が想像した シーンを分析します。

パンダコパンダ

「パンダコパンダ」 キャラクター設定画(複製)©TMS

その新人離れした技術とセンスは、TVシリーズの「狼少年ケン(1963~65)」でもいかんなく発揮されました。
劇場用長編初演出(監督)となった「太陽の王子 ホルスの大冒険」(1968)においては、同僚とともに試みた集団制作の方法と、複雑な作品世界を構築していくプロセスに光を当て、なぜこの作品が日本のアニメーション史において画期的であったかを明らかにします。

第2章 日常生活のよろこび アニメーションの新たな表現領域を開拓

東映映画を去った高畑氏は、「アルプスの少女ハイジ」(1974)にはじまり、「母をたず ねて三千里」(1976)、「赤毛のアン」(1979)という一連のTVの名作シリーズで新境地を切り拓きます。

赤毛のアン

「赤毛のアン」 セル付き背景画 ©NIPPON ANIMATION CO. ,LTD.“Anne of Green Gables” ™AGGLA

毎週一話を完成させなければならない時間的制約にも関わらず表 現上の工夫を凝らし、衣食住や自然との関わりといった日常生活を丹念に描写することで、一年間52話で達成できる生き生きとした人間ドラマを創造したのです。
宮崎駿、小田部羊一、近藤喜文、井岡雅宏、椋尾篁らとのチームワークを絵コンテ、レイアウト、背景画などによって検証し、高畑演出の秘密に迫ります。

第3章 日本文化への眼差し
過去と現在の間

映画「じゃりン子チエ」(1981)、「セロ弾きのゴーシュ」(1982)以降は日本を舞台にした作品に特化、日本の風土や庶民の生活のリアリティーを活写します。

じゃりン子チエ

「じゃりン子チエ」 キャラクター設定画(複製) ©はるき悦巳/家内工業舎・TMS

その取り組みは、1985年に設立参画したスタジオジブリにおい て、「火垂るの墓」(1988)、「おもひでぽろぽろ」(1991)、「平成狸合戦ぽん ぽこ」(1994)という日本の現代史に注目した作品群に結実します。

火垂るの墓

「火垂るの墓」 セル付き背景画 ©野坂昭如/新潮社,1988

平成狸合戦ぽんぽこ

「平成狸合戦ぽんぽこ」 セル付き背景画 ©1994 畑事務所・Studio Ghibli・NH

日本人の戦中・戦後の経験を現代と地続きのものとして語り直す話法の創造と、 「里山」というテーマの展開に注目します。

第4章 スケッチの躍動
新たなアニメーションへの挑戦

高畑氏はアニメーションの表現形式へのあくなき探究者でもありました。
90年代には絵巻物研究に没頭して日本の視覚文化の伝統を掘り起こし、人物と背景が一体化したア ニメーションの新しい表現スタイルを模索し続けました。その成果は「ホーホケキョとなり の山田くん」(1999)と「かぐや姫の物語」(2013)に結実します。
デジタル技術を利用しての手書きの線を生かした水彩画風の描法に挑み、従来のセル様式とは一線を画した表現を達成しました。
美術への深い知識に裏付けられた高畑のイメージの錬金術を紐解きます。

高畑勲展

高畑勲 プロフィール

【略歴】
1935年三重県生まれ。岡山県で育つ。 1959年東京大学仏文科を卒業。同年東映動画(現・東映アニメーション)に入社。 1968年、劇場用長編初演出(監督)となる「太陽の王子 ホルスの大冒険」を完成。 1974年テレビシリーズ「アルプスの少女ハイジ」全話を演出。 1976年にはテレビ「母をたずねて三千里」、1979年にはテレビ「赤毛のアン」の全話演出を手がけた。 その後、1981年「じゃりン子チエ」、1982年公開の映画「セロ弾きのゴーシュ」を監督。 1984年公開の宮崎駿の「風の谷のナウシカ」ではプロデューサーを務めた。 1985年スタジオジブリ設立に参画。

【高畑勲 氏 主な作品】
1. 「狼少年ケン」 (1963年~1965年)
2. 「太陽の王子 ホルスの大冒険」 (1968年) 3. 「パンダコパンダ」 (1972年)
4. 「アルプスの少女ハイジ」 (1974年)
5. 「母をたずねて三千里」 (1976年)
6. 「未来少年コナン」第9話、第10話 (1978年) 7. 「赤毛のアン」 (1979年)
8. 「じゃりン子チエ」 (1981年)
9. 「セロ弾きのゴーシュ」 (1982年)
10. 「柳川掘割物語」 (1987年)
11. 「火垂るの墓」 (1988年)
12. 「おもひでぽろぽろ」 (1991年)
13. 「平成狸合戦ぽんぽこ」 (1994年)
14. 「ホーホケキョとなりの山田くん」 (1999年) 15. 「かぐや姫の物語」 (2013年)

高畑勲

高畑勲監督写真

information

展覧会名

『高畑勲展』~日本のアニメーションに遺したもの~

会期

2021年 4月29日(木・祝) ~ 7月18日(日) (計 70日間)

休館日

※月曜日 (ただし、5月3日(月・祝)は開館、5月6日(木)は休館)

開館時間

午前9時30分 ~ 午後5時30分 (最終入館は、閉館の30分前まで)
※ただし、7月の金・土曜日は午後8時まで開館 (最終入館は閉館の30分前まで)

観覧料

一般:1,500円 高大生:1,000円 小中生:600円
※大学生以下の方はご入館の際、学生証や生徒手帳等をご提示ください。 ※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳の提示者とその介護者1名、および特定疾患医療受給者証、特定医療費(指定難病)受給者証、先天性血液凝固因子障害等医療受給者証、小児慢性特定疾病医療受給者証 の提示者、および未就学児は観覧無料

会場

福岡市美術館

住所

福岡市中央区大濠公園1-6

主催

福岡市美術館、西日本新聞社、FBS福岡放送

後援

福岡県、福岡市教育委員会、(公財)福岡市文化芸術振興財団、西日本鉄道、九州旅客鉄道

企画協力

スタジオジブリ

協力

(公財)徳間記念アニメーション文化財団、大濠テラス

制作協力

NHKプロモーション

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