住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
コーヒーの聖地・福岡で、全国的に注目を集めるロースタリー『COFFEE COUNTY』。オーナー兼ロースターの森 崇顕さん自ら産地に足を運び、仕入れた生豆を焙煎するスタイルが同店の代名詞だ。森さんが最も大切にしているコーヒーの味わいとは。
全国的に注目を集める、福岡の気鋭ロースタリー
「福岡はコーヒーの聖地」。たくさんのコーヒーショップを取材して、ぼくはそう実感しています。世界一のロースター、世界2位のバリスタなど、華やかな実績を残す凄腕のコーヒーマンぞろい。コーヒーカルチャーの発展が著しい街だけに、素晴らしいコーヒーショップが多数存在し、それぞれに魅力あるコーヒーを生み出しています。
そんな福岡で、ひときわ個性を放つ店が、今回紹介する『COFFEE COUNTY』。本店は久留米市内、2号店、3号店は福岡市内にあり、コーヒー好きじゃなくても、そのオシャレな雰囲気に興味を引かれ、利用したことがある人も多いのではないでしょうか。
豆販売は常時5〜6種を用意。パッケージのカラーリングがコーヒーの味わいを表現。
『COFFEE COUNTY』といえばシングルオリジンのハンドドリップコーヒー。
生産者と繋がりながらコーヒーと生きていく
オーナー兼ロースターを務めるのは、森 崇顕さん。いつも落ち着いた佇まいで、飄々とした人、という言葉がしっくりくるかもしれません。森さんは、札幌や福岡のコーヒショップで働き、2013年に久留米市にて『COFFEE COUNTY』を立ち上げました。独立志向が強いわけではなかったそうですが、前職を退職後、2012年にニカラグアに3ヶ月滞在したことが、『COFFEE COUNTY』を開くきっかけに。
「生産国の生活やコーヒー豆の栽培・収穫・精製方法を実際に目にして、今後、コーヒーと関わって生きていくなら、生豆の仕入れに自ら生産国まで足を運び、生産者とコミュニケーションをとることは必須だな、って感じたんです。そのスタイルを選ぶなら、自分で店をやるのがベストと考えた結果が独立開業でした」と森さんは話します。
ちなみに、一般的な自家焙煎店は、商社から生豆のサンプルを取り寄せ、気に入った豆を仕入れ、焙煎して、販売するのが主流。一方で、『COFFEE COUNTY』は森さんが生産国に足を運んで仕入れる生豆をメイン使う稀有なスタイルです。それもあり、全国各地の同業者からも注目を集めているわけですが、さらに、同店のコーヒーは味そのものが新感覚!
ホンジュラスのカップ・オブ・エクセレンスに参加した森さん。生産国で味わいを確認し、気に入った豆を仕入れる。
コーヒーの味わいに幅や奥行きを生む、酸の質
焙煎度合いは浅煎り、中煎りがメインで、豆本来のフレーバーが際立っているのが同店のコーヒーの大きな特徴。コーヒーはボディ、フレーバー、酸味、ビター感、甘味、口当たりなど、さまざまな味わいの要素がありますが、森さんが一番大切にしていることを聞いてみました。
「コーヒー用語になりますが、アシディティ(Acidity)ですね。わかりやすくいうと酸の質や明るさのことなんですが、例えば、フルーツでもただ甘いだけの果実って、なんだか味気なく感じませんか?味がぼやけた印象になるというんでしょうか。甘味を引き立てるにはやはり酸味が必要。コーヒーにも同じことがいえると思います」と森さん。
さらに、酸にも質が良い・悪いがあると続けます。
「酸の強弱ではなく、酸の質が大事なんです。良い酸からは味わいの幅や奥行きが生まれる。飲んだ方がさまざまな味を発見できる、生き生きとしたコーヒーを表現したいんです。透明感があって品の良いコーヒーというんですかね」。
コーヒーに“品”を求める。すごく感覚的な表現ですが、確かに同店のコーヒーはひと言ではいい表せない複雑味が魅力。森さんの感性あっての味わいなんだと納得しました。
店で販売するコーヒー豆はシングルオリジン(単一農園)のみ。常時、5〜6種の銘柄を用意。
コーヒーを飲むために作られたグラス
さらに注目してほしいのが、コーヒーを入れる器です。通常、磁器や陶器のカップで出てきますが、同店ではグラス。
しかも、長野県にある『スタジオプレパ』というガラス工房と一緒に開発した特注で、飲み口の厚み、丸み、サイズなど、コーヒーを飲むために作られたものです。森さんは「コーヒーを飲むのに適しているのはガラスと考えます。理由は素材としてのガラスがコーヒーのフレーバーや味わいをそのままに表現してくれるから」と話します。
グラスに入ったコーヒーの液色は、いわゆる黒や茶色ではありません。えんじ色、赤を帯びた紫色…。
色合いからコーヒーの概念を覆す『COFFEE COUNTY』の一杯を通して、コーヒーがまとう“品”を感じてみてください。
「スタジオプレパ」で製作しているコーヒーグラス。店頭やWEB SHOPで販売することも。
Information
店名
COFFEE COUNTY KURUME
住所
福岡県久留米市通町102-8
電話番号
営業時間
11:00〜19:00
定休日
火曜