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卒業・入学シーズン到来!ハレの日には、福岡のフレンチを堪能あれ|食の専門サイト”UMAGA”セレクト

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muto編集部

福岡のうまいものを探求するWEBマガジン「UMAGA」は、福岡のグルメたちを唸らせる記事が毎日更新されています。その中から、muto読者にオススメの情報をセレクトして定期的にお伝えします。今回は、卒業のお祝いにオススメする福岡のフレンチの名店です。

艶めくソース、香りまでも格別!フレンチの喜びを教えてくれる名店 ペシェミニヨン

今回お邪魔したのは、南区大楠にある老舗の名店。“食道楽”な紳士淑女を心から満たしてくれる、フランス料理「ペシェミニヨン」です。

腕を振るうのはオーナーシェフの松尾秀敏さん。大阪の調理師学校を卒業後、「シェ・イノ」の創業者である井上旭氏や「北島亭」の北島素幸氏といった名シェフから薫陶を受け、その後フランスへ。当時、ベルナール・ロワゾー氏※がシェフとして活躍していた「ラ・コート・ドール」、「ラ・コート・サン・ジャック」といった、ブルゴーニュの三ツ星レストランで3年に渡り修業を積みます。帰国後は福岡の「メゾン・ド・ヨシダ」にて腕を磨き、1995年に「ペシェミニヨン」を開業しました。

※ベルナール・ロワゾー氏=ポール・ボキューズ、ジョエル・ロブションと並び称されるフランス料理界のレジェンド

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コースの1皿目は、帆立を使った冷たいオードブルです。キラキラと輝くのは、魚の出汁や香味野菜を煮詰めて澄まし、フランスのリキュール・パスティスを加えて作られたジュレ。魚のゼラチン質だけで固まっているため、舌へのせるとたちまち溶けて、心地よい旨味と香味が広がります。

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続いて供されたカップの蓋をとると、中には深い琥珀色に輝くスープが。半頭買いしている仔鹿のスネや焼いた骨をじっくりと煮出し、しっかりと澄ませた仔鹿のコンソメです。

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続く魚料理もなんと美しいのでしょう。ブレゼした旬のアラ(クエ)はバツンッと身が爆ぜ、潤みを帯びており、豊かな旨味を湛えています。底にたっぷりと敷かれたソースは、濃厚ながらも重たすぎない絶妙なバランス。エシャロット、マッシュルーム、魚や肉のジュ(焼き汁や煮汁)の旨味に加え、ノイリー酒の風味と酸味がふわりと広がり、刻まれた野菜の食感も楽しい一皿です。

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肉料理は、運ばれてきた瞬間に思わず声を上げてしまいました。松尾シェフの得意料理の一つ、パイ包み焼きです。この日の中身は、山鳩、鹿、牛、リードヴォー、フォアグラ、シェフが塩漬けした青胡椒、イチヂクなどを加えたパテ。焼き立てのフィユタージュ(折り込みパイ)生地から漂うバターの香り、ソースの香り、それからザクッとナイフを入れた瞬間に立ち上る肉の香り……と、その濃密な香りだけでもワインが飲めそうです。
鹿や鶏のジュ、赤ワインやポルト酒で作られたソースは重厚感があり、「これぞフランス料理!」という幸せを噛み締めながら味わいました。

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予約制のディナーコースは3種類あり、ゲストの好みや特別な食材を組み合わせて作る「本日のスペシャルディナー」(11,000円〜・要前日予約)も用意されているので、ハレの日にはぜひこちらもどうぞ。マダムが選ぶワインと共に、口福なひと時を過ごせますよ。

「ペシェミニヨン」の詳しい情報はコチラ

魚料理も格別!フレンチレストランの魅惑を伝える大手門の名店 RESTAURANT GEORGES MARCEAU(ジョルジュ・マルソー)

2004年の開業以来、フランス料理の魅惑を伝え続ける「ジョルジュ・マルソー」。快い空気の中で、普段より特別な食事がしたい──そんな時、ここは最良の選択肢となるはずです。

最近はコース1種類の高級店も目立ちますが、ここでは4種類から選べるので幅広い使い方ができます。当然、食材管理やオペレーションの難度も上がりますが、これはレストラン文化の普及に献身するオーナーシェフ・小西晃治さんの想いの表れだそうです。

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そんな情熱を研ぎ澄ませたコースは、アミューズの後の前菜で、早くも客の心を掴みます。様々な食材を用い、コラージュのように散らした色彩のなんと美しいこと! 生命賛歌すら感じさせる瑞々しさに思わず見入ってしまいました。旬の野菜は、グリエしたり、出汁でマリネしたりと、すべて異なる技法で真価を発揮。そこへアンコウの肝と胃袋、マグロ、かぶらもちが食べ応えを加えます。

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魚料理は、ラタトゥイユのソースを添えたオコゼ。強火で短時間火入れして、プリッと仕上げた身のうまさときたらありません。そして、この美味しさの土台となるのが、先述した「魚へのこだわり」です。
鮮魚は主に唐津から届く活魚を使用。それに対して小西さんが、なんと自ら血抜きや神経締めを行うのです。その技術は水産庁のプロが認めたレベルで、これを魚屋に任せず、自前で行うことで、仕入れ値を抑え、極上の鮮度を確保できると言います。「ここまでやっているフレンチ店は全国でも少ないでしょうね」と小西さんが微笑みました。

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肉料理は熊本産あか牛のロース、赤ワインソース添え。これもカリッとした表面の焼き具合と、しっとりした赤身のコントラスが珠玉です。「これは古典料理の一つですが、随所にイタリアンや和食などの技法を交え、料理をアップデートさせることも忘れません」と小西さん。「その先に目指すのは、福岡発のソウルフードです」

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モダンとクラシックが柔らかく融合するコースは、パティシエによるデザートで幸せなフィニッシュを迎えます。今日は紅玉のタルトタタン、サツマイモのクリームとマスカルポーネアイスクリームなど。上質な食事の幕切れにふさわしいスイーツです。

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コースの品数は少なめですが、1皿ごとのボリュームは十分。「これも昔ながらのフレンチ様式ですね。こうした伝統も含め、レストランの様々な愉しみを次世代に繋げたい。それが今の私の夢です」。そんな小西さんの夢には、もちろん僕らが応援する価値があります。そのことを知る人々の輪が、この先もっと広がりますように!

「RESTAURANT GEORGES MARCEAU(ジョルジュ・マルソー)」の詳しい情報はコチラ

自在な技法と感性で“幸せ”を紡ぐ、警固の星付きフレンチ店 Le marchand de bonheur(ル・マルシャン・ド・ボヌール)

オープン1年半でミシュラン1つ星に輝いたこの店の名は、オーナーシェフ・森英昭さんの師匠の一人にして、フランスを代表する巨匠ミシェル・ブラス氏の言葉から取ったそうです──いわく「料理人とは、幸せの商人(=ル・マルシャン・ド・ボヌール)である」

警固小学校向かいのビルに、森さんが「Le marchand de bonheur」を構えたのは2018年のこと。2階にあるためか往来の喧騒は感じられず、ほんのり隠れ家感さえ漂うロケーションです。

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まず驚いたのは、アミューズ後に出されたこのピンチョス。なんと有明産イソギンチャクを使ったフリットで、常連人気も高いスペシャリテです。「福岡で店をやる以上、何か一つは福岡ならではの料理を出してみたい。そう考えて、柳川地区で親しまれるこの希少食材を選んだのです」と森さん。
コリっとしたイソギンチャクは、噛み締めるごとに潮の香りがフワリと立ち、そこへアーモンド風味の衣やニンニク入りのチーズなどが花柳を加えます。シェフの視点の面白さを窺わせる小粋な一品でした。

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続いて供されたのは国内でも珍しいステムレタスのグリエ。その特徴でもある太い棒状の茎(=ステム)をボイルし、バターやハーブを加えたパン粉をまぶして焼きあげたものです。表面のカリカリ感と、その奥に潜むみずみずしいレタスの対比がなんとも爽快。その旨味を強める役割の北海道産ホタテの存在も実に効果的です。

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魚料理に続くメイン料理は、冬限定・牛ほほ肉のブレゼでした。こちらは風格漂う古典フレンチで、前日から赤ワインと香味野菜に漬けたほほ肉の味わいも、赤ワインやバターなどで仕上げた濃厚なソースの味も完璧。

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ほうじ茶のアイスクリームを添えたデザートは、ハーブ類を練り込んだタルトに、プリン状の生地と青森産リンゴをコンポート風に焼き上げたもの。最上部のシブーストクリームとの相性も良く、心安らぐ甘みが舌を優しく包みます。

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どの皿も洗練とアイデアが刻まれた料理揃いですが、テーブルに置かれる前から鼻腔をくすぐる香りの良さも印象的でした。
「そこは“ライブ感”として特に意識している部分です」と落ち着いた声音で語る森さん。「フレンチのコースはよくオーケストラに例えられますが、僕の場合は物語性あるショートフィルムの連作集でしょうか。そうして食事の終わりに、1つの“幸せ”な物語を感じていただけたら嬉しいですね」

「Le marchand de bonheur(ル・マルシャン・ド・ボヌール)」の詳しい情報はコチラ

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