スポーツバックとは、2010年のA5で初採用された４ドアの実用性と、スポーティなクーペ風デザインを融合したAudi独特の車体形状を表す。SUVのカテゴリーおいてもピュアEVのe-tronとQ3に取り入れられており、今回投入されたQ５スポーツバックはそのネーミングが与えられた３番目のモデルとなる。
クーペルックの採用に伴いルーフレールを無くすなど、視覚的にはかなり車高が低められた印象を受けるが、標準のQ5との全高の差は僅か５mmに過ぎず、後部座席のヘッドクリアランスは十分な余裕を確保。ラゲッジスペースの容量についても同様で、Q5の520リットルに対しQ5スポーツバックは510リットルと、スタイルの違いによるマイナス面が最小限に留められていることも特筆すべき点だ。グレードはアドバンストとSラインという２本立てで、前者にはＱ８と同イメージのマットアルミ調の垂直ラインで構成されたフロントグリルを採用。これに対し後者はアルミニウムルックインサート付きのハニカム（六角形）メッシュとするなど、ひと目で見分けが付く外観となっている

Q5には２リッター４気筒ガソリンとディーゼルという２種類のパワーユニットが用意されていたが、Q5スポーツバックはディーゼルのみ。最高出力204馬力、最大トルク400NmというスペックもQ5の同エンジンと共通で、ベルト駆動式オルタネーター（BAS）と12Vリチウムイオンバッテリーを用いたマイルドハイブリッドシステムも搭載。駆動方式はAudi伝統のquattro四輪駆動システムを採用し、路面や走行状況などにより四輪駆動での走行が不要と判断した時にはプロペラシャフトとリア側のドライブシャフトを切り離し、前輪駆動とするAWDクラッチも装備。さらにコースティング（惰力走行）時にはエンジンを完全に停止させるなど、様々な省燃費技術により、２トンに迫る車重ながら燃費性能はWLTCモードで14.5km/lをマークしている。

今回取材にご協力を頂いたAudi福岡中央によると、Q5のように標準タイプとスポーツバックが設定されている車種の販売比率を分析すると、大半においてスポーツバックが優勢の傾向にあるとのこと。ちなみにQ5とQ5スポーツバックの価格を「TDIアドバンスト」「TDI Sライン」という両者に共通したグレード間で比べてみると、前者／後者ともにスポーツバックの方が48万円ほど高め（車両本体価格での比較）の設定が行われている。しがないライター稼業の筆者には正直、見過ごせない金額差だが、この種のラグジュアリーカーのターゲット層にとっては大きな問題では無いハズ？現在市場では発売開始時期の差からQ5が先行しているが、いずれどこかのタイミングQ5スポーツバックが巻き返して来ることは、間違いなさそうだ。