充実のマイナーチェンジで、完成度は円熟の領域に
フォルクスワーゲン パサート

公開日

ライター 高橋陽介

トータルバランスに優れたDセグメント(ミドルクラス)モデルとして好評のパサートが、2014年の発売開始以来、初めてとなる広範囲へのマイナーチェンジを実施。正規ディーラー、フォルクスワーゲン福岡の協力のもと、ショートインプレッションを行なって来ました。

エンブレムには新デザインのVWロゴを採用

セダン、ヴァリアント(ワゴン)、オールトラック(4輪駆動)と、3つの車種体系を展開するパサート。初代の誕生は1973年のことで、現在のモデルで8代目を数える。今回のマイナーチェンジでは、ノーズ先端部のエンブレムロゴが2019年のフランクフルトショーにおいて発表された新デザイン仕様に変更。さらにヘッドライトへのデイライトの追加やエッジが強調されたフォグランプ、フロントグリルなどディテールの造形も見直されているが、全体のイメージは従来通りで、このクルマの安定した人気の高さを物語っている。パワーユニットついても4気筒ターボのガソリン、ディーゼルの2本立てと、これまでと同様の設定だが、前者の排気量が1.4リッターから1.5リッターにアップ。最高出力やトルクなどスペックに変わりは無いが、直噴機構に加え、低負荷時には4気筒のうち2気筒を休止させて燃費の向上を図るACTと呼ばれる新技術を投入したTSI EVOエンジンに換装されている。

フロントエンブレム内のカメラで対向車や先行車を検知。状況に応じてユニットに埋め込まれた32個の小型LEDをON/OFF切り替えさせることで、最適な配光を行うIQ.LIGHTを装備

複雑に入り組んだプレスラインやランプ形状など、デザインコンシャスなクルマも見受けられる中、パサートの研ぎ澄まされたシンプルさは非常に魅力的に映る

近年のフォルクスワーゲンの流儀に則り、車名のオーナメントはエンブレム下に配置されている。エンブレムはリアゲートの開閉ノブと、バックカメラの内蔵スペースを兼ねている

インフォテインメントシステムや運転支援機能を拡充

インテリアでは9.2インチのタッチスクリーンによるインフォテインメントシステムDiscover Proを採用した、新しいインパネデザインが目を引く。このスクリーンは手のひらをかざして左右にスワイプするだけで画面操作が可能。フォルクスワーゲンのモバイルオンラインサービス「We Connect」やApp-Connect、ハンズフリーフォンなど多彩な機能に対応。ステアリング越しに見えるデジタルメータークラスターDigital Cockpit Proも昨今では見慣れた光景だが、パサートにはダッシュパネル上部に走行スピードやカーナビの走行方向などを表示するヘッドアップディスプレイも装備されている。この他、渋滞から高速走行まで、幅広い速度域で先行車との車間や走行レーンの維持をサポートするトラベルアシストやアダプティブクルーズコントロール、後退時のアクシデントを抑止するリアトラフィックアラートなど、「オールイン・セーフティ」というコンセプトに基づいた数々の安全デバイスも新たに追加された。

基本デザインはそのままに、メータークラスターやインパネセンター部などが最新のデジタル仕様となったインテリア。空調のコントロールもタッチパネル式に変更されている

質感の高いR-Line専用のRロゴ入りブラック/ナパレザーシート。運転席にはマッサージ機能も備わる

ヴァリアント最大の持ち味が650リットルのラゲージスペース。リアシートを立てたままでも余裕は十分だが、倒せば最大1780リットルまで拡大される

誰にでも安心してオススメできるクルマ

今回フォルクスワーゲン福岡、およびフォルクスワーゲン博多の協力のもと、用意されたデモカーはパサートヴァリアントの上位機種、TDI R-Line。どちらかと言えば、主張を抑えたおとなしいキャラクターという印象のパサートだが、R-Line専用色のラピスブルーに彩られたフォルムからはスポーティな躍動感が漂う。排気量アップが図られたガソリン版に対し、ディーゼルターボは従来通り。それでもトランスミッションの7速化による恩恵は少なく無い。このエンジンの美点だったフラットなトルク特性によるスムースな乗り味にはさらに磨きがかけられ、R-Lineに標準装備のアダプティブシャシーコントロールをハード寄りに設定すれば、スポーティなドライビングを存分に楽しむことができる。
誰にでも安心して勧められるクルマと書くと、すべてがソコソコ平均点の凡庸なクルマという誤解を受けるかも知れないが、パサートに対する「それ」は、言葉の意味するトコロが全く異なる。毎日の相棒として、選んで間違いナシ!と断言できるクルマは、なかなか無いと思う。

「心地良い」という表現がもっとも的確な、パサートヴァリアントの走り。R-Lineには車速に応じてギア比を変化させるプログレッシブステアリングも標準装備

Volkswagen Passat Variant TDI R-Line
全長×全幅×全高(mm) 4785×1830×1510
ホイールベース(mm) 2790
車両重量  1610kg
エンジン 直列4気筒DOHCインタークーラー付き直噴ターボディーゼル
総排気量 1968cc
最高出力 190ps/3500〜4000rpm
最大トルク 40.8kgm/1900〜3300rpm
トランスミッション 7速DSG(パドルシフト付き)
サスペンション 前/後 マクファーソンストラット/4リンク
燃料消費率(WLTCモード) 16.4km/L
車両本体価格 ¥5,849,000

Interviewee

店舗名

フォルクスワーゲン福岡

住所

〒815-0031 福岡県福岡市南区清水1丁目24−28

営業時間

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定休日

水曜日、第2木曜日

お問い合わせ

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