住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
日本市場に初めて投入されたアウディのBEV(バッテリーエレクトリックヴィークル)、e-tronスポーツバック。正規ディーラー アウディ福岡マリーナの協力のもと、その実力の片鱗に触れてみた。
奇抜さをあえて抑えた、日常の風景に馴染むデザイン
2012年のA6を皮切りに、ハイブリッドやプラグインハイブリッドなど、環境に優しいクルマ作りに取り組んで来たアウディだが、今後はさらに電動化モデルの販売を強化。サスティナブル(持続可能)な自動車社会の実現を見据え、2025年までに20タイプのEVを発売する他、総販売数のうち約4割を電動化モデル(プラグインハイブリッドを含む)とすることを目標に掲げている。
この展開に基づき、日本の市場におけるトップバッターを務めることとなったのが9月17日発売が開始されたe-tronスポーツバックだ。ボディサイズは全長4900mm、全幅1935mmという堂々たるもので、フロントには同社の一連のSUV、Qファミリーに共通したアイコンであるオクタゴングリルを採用。「もはやボンネット内にはエンジンは存在しないのだから、グリルは不要では?」という声もあるかも知れないが、これはフロア下に搭載されたリチウムイオンバッテリーを冷却するためのもの。バッテリーの温度上昇をセンサーが感知するとグリル内部のシャッターが開き、走行風を取り入れる機能を備えているのだ。
とはいえ、ルックス全体から受ける印象はいたってシンプルで、クルマにそれほど興味の無い人には「お、アウディの新しい4駆か?」という程度にしか思えないかも知れない。そんなさりげなさもまた、e-tronスポーツバックの魅力と言える。
ピュアEVゆえにマフラーは存在せず、バンパー周りはすっきりとした造形に。今回発売されたのはファーストエディションと呼ばれるモデルで、バング&オルフセンのオーディオシステム他、様々な特別装備が与えられている。販売価格は1327万円
21インチサイズのタイヤ/ホイールが迫力を醸し出す。バッテリーの搭載部(サイドシル上部のブラック部分)を、デザインのアクセントとしている点にも注目。サスペンションは前後とも5リンク式で、最大76mmの昇降幅を持つアダプティブエアサスペンションが標準装備される
満充電時の最大航続距離は405km
モーターはフロント、リアに一基ずつ搭載。通常の走行時は後輪駆動だが、コーナリング時や路面状況が変化した際など、必要に応じてフロント側にも駆動力を伝える電動版のクワトロ(アウディ伝統の4輪駆動方式)を搭載。2駆から4駆への動力伝達に要する時間は0.03秒と、これまでのエンジン版クワトロを凌ぐスピードを実現している。前後のモーターを合わせたシステム出力は標準時が265kw、最大トルクは561Nmで、アクセルをグッと踏み込んだブーストモード時には300kw(ガソリンエンジン換算で400馬力オーバー)、最大トルクは664Nmに跳ね上がる。静止状態から100km/hまでの加速も5.7秒と、かつてのポルシェ930ターボ(5.5秒)に匹敵するほどのポテンシャルが秘められている。
EV最大の関心事である最大航続距離についてはWLTCモードで405km。95Kwhのバッテリーをゼロからフル充電させるには約90分を要するが、30分の一時的な急速充電でも約117kmの走行が可能。市街地メインの普段使いには、十分なレベルだろう。
e-tronの文字の横にあるスイッチを押すとカバーが下がり、充電用のソケットが現れる。左フェンダーはCHAdeMO規格の急速充電用、右フェンダーには家庭用のAC200V対応のソケットが備わる
e-tronスポーツバックの取り扱いは24時間使用可能な急速充電器の他、EV専用の設備を備えた認定ディーラーのみとなっている(2020年9月現在、全国52店舗)。購入費用や充電設備の設置に要する費用に対する補助金の問い合わせなどについては当該ディーラーまでお問い合わせを
すべてにおいて上質。新時代のラグジュアリーカーの出現か?
さて、いざ試乗へ。空調コントロール用モニター前にある起動スイッチを押すと、e-tronスポーツバックは静かに目を覚ます。続いて、従来までシフトレバーが存在していた場所にある操縦桿のようなグリップの先端にあるスイッチをDレンジにクリックし、公道へと乗り入れる。レスポンスは2.5トンという車重を感じさせないほど軽快。ブーストモードに入るとさらに力強さが増すが、その感覚はいわゆるドッカンターボ的なピーキーさとは一線を画しており、大排気量マルチシリンダーのガソリンエンジン車のような重厚な深みが感じられた。
また、ステアリングのグリップ部には、ブレーキング時の回生システムの強さをコントロールできるパドルが備わり、設定次第で1ペダルドライブに近い走り方も可能。しかも設定を最強にしても回生動作時に体が前後に激しく振られることは無く、上質な乗り味をしっかりキープ。大柄な車体ながら、ほぼ50:50という前後の重量配分を達成していることも、しなやかな走りをもたらす要因の一つと言えるはずだ。
ちなみに、筆者はアナログ思考のガソリンエンジン支持者だが、試乗を終えた率直な感想は「電動、アリかも?」と実感。特に感銘を受けたのは、走行シーンごとに変化する電気の緻密な”味付け”。これはガソリンエンジンにおけるセッティングやチューニングという手法にも似ていて、約1時間の試乗は退屈とは全く無縁のひとときだった。EV=無機質・無個性と決め付けている方こそ、ぜひ一度、試乗されてみることを、強くお勧めしたい。
様々な情報を表示するバーチャルコクピットやMMIタッチパネルなど、近年のアウディの文法に則った運転席周り。ドライブ、リバースなどの操作は左に見えるレバー先端部のスイッチで行う
ドアミラーに代わり、小型カメラで捉えた映像をインパネ両サイドの7インチ有機ELモニターに表示するバーチャルエクステリアミラー。雨天や夜間時にもクリアな画像が確認できる。オプション価格は19万円
アプリに登録することで車両から離れた場所でもバッテリーの残量確認やリモート充電のON/OFF、エアコンの操作、車両位置確認などができるmy audi。オーナー必携のツールと言える
Audi e-tron×柴咲コウ Special Movie
Interviewee
店舗名
Audi正規ディーラー Audi福岡マリーナ
住所
〒819-0001 福岡県福岡市西区小戸2-2-85
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定休日
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