現代の最重要思想書!ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』がそれぞれ、各一巻本・ハードカバーの愛蔵版として刊行決定

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muto編集部

ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリによる共著『アンチ・オイディプス──資本主義と分裂症』(宇野邦一訳)を2025年12月26日に刊行、つづいて『千のプラトー──資本主義と分裂症』(宇野邦一他訳)も2026年2月に刊行の予定です。近年は複数巻の河出文庫で親しまれてきた両書。『アンチ・オイディプス』は宇野邦一訳としては初の単行本版となり、『千のプラトー』は1994年以来の単行本版刊行です。

ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』

現代思想を代表するフランスの哲学者ジル・ドゥルーズとフェリックス・ガタリ。
この2人の主著にして20世紀最大の思想書であり衝撃作と言われる書物が、『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』です。それぞれ「資本主義と分裂症」の第1巻と第2巻という位置づけがなされています。

『アンチ・オイディプス』 (仏:L’Anti-Œdipe、英:Anti-Oedipus)
「器官なき身体」から、国家と資本主義をラディカルに批判しつつ、分裂分析へ向かう本書はいまこそ読みなおされなければならない。無意識論、欲望論、身体論、国家論、資本論、芸術論……。来るべき思考と実践へ向けてマグマのような文体で書かれた20世紀最大の思考の挑発。

『千のプラトー』 (仏:Mille Plateaux、英:A Thousand Plateaus)
ドゥルーズ/ガタリによる極限的な思考の実験。リゾーム、抽象機械、アレンジメントなど新たな概念によって宇宙と大地をつらぬきつつ生を解き放つ。顔貌性、そして逃走線の考察から生成変化をめぐりつつ、宇宙の時を刻むリトルネロへ向かい、絶対的な脱領土化の果ての来たるべき生と民衆を問う。

『アンチ・オイディプス』の原書は1972年刊行。日本語版は市倉宏祐訳で1986年に小社より単行本(A5判上製・本文2段組・全1巻)として刊行。そして2006年に宇野邦一氏による新訳で河出文庫(A6判並製・本文1段組・全2巻)が刊行。以降しばらくして、単行本は品切れに。

また、『千のプラトー』の原書は1980年刊行。日本語版は宇野邦一ほか訳で1994年に小社より単行本(A5判上製・本文2段組・全1巻)として刊行、2010年の河出文庫(A6判並製・本文1段組・全3巻)刊行以降は、単行本は品切れとなっていました。

このたび、ジル・ドゥルーズの生誕100年、河出書房新社創業140周年を記念して、2つの歴史的名著の単行本版をそれぞれ、ハードカバー・一巻本の愛蔵版として刊行が決定。

底本は、両書ともに最新翻訳版である河出文庫版とし、これを機に若干の訳文の改訂が行われています。

またかつての単行本版はデザイナー・戸田ツトムさんと岡孝治さんによるインパクトのある卓越した装幀でしたが、今回の最新版はデザイナーの水戸部功さんによって、21世紀における両書の重要性と存在感を高らしめる、精緻な知性と革命的な思考を感じさせる斬新な装幀に生まれ変わります。

文庫版等ですでに本書をお持ちの方も、またこれから読み始める方も、新たな座右の書として本書を繙読してみてはいかがでしょうか

國分功一郎さん推薦!

このたび『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』に、哲学者の國分功一郎さんから熱烈な推薦文をいただきました。

『アンチ・オイディプス』
君はぼろきれなんかにされてはいけないんだ!
──これは、そんなささやかな、
しかし絶対に手放してはならない願いから書かれた本である。
時代は変わった。
けれども、ドゥルーズとガタリ、二人の問いかけは、
なおも読者の心を奮い立たせる。

『千のプラトー』
リゾームは実現した、と?
確かめてみるんだ。
国家の捕獲装置はいまどう作動しているか。
エディプス的でない無意識を我々は手にしたか。
知覚しえぬものになることの意味を理解したか。
この道具箱から概念を取り出してみるんだ。
そして試すんだ。

Web河出で、荘子itさんと髙山花子さんによる寄稿を特別公開!

2025年4月に刊行した雑誌「文藝 2025年 夏季号」で「ドゥルーズ、終わりなき生成変化」という特集が組まれました。このたび、『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』の刊行決定を記念して、ここに寄稿いただいた荘子itさんによるエッセイ「アンチ・オイディプスの音楽」と髙山花子さんによる論考「誰かの夢の書き起こし」をWeb河出で特別公開します。

荘子itさんによるエッセイは、荘子itさんご自身の創作経験を念頭に置きながら、哲学と音楽(芸術)が交差する場所をめぐる思索について。また、髙山花子さんによる論考は、ドゥルーズの声をめぐるやわらかな記憶をたよりに、ドゥルーズという哲学者が徹底したあらゆる規定への抵抗の足跡をたどっていくものです。

併せまして、是非この機会にお読みください。

【特別公開】荘子 itによるエッセイ 「アンチ・オイディプスの音楽」
https://web.kawade.co.jp/column/162812/

【特別公開】髙山花子による論考「誰かの夢の書き起こし」
https://web.kawade.co.jp/column/162982/

著訳者紹介

ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze)
1925-1995年。フランスの哲学者。1969年よりパリ第8大学教授。西欧哲学の伝統を批判的に継承することで創造した「差異」「強度」「内在」「生成変化」などの概念は、今日にいたるまで、さまざまな領域へ絶大な影響を与え続けている。著書に、『差異と反復』『意味の論理学』『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』『襞』(以上、河出書房新社)『シネマ』(法政大学出版局)や、フェリックス・ガタリとの共著『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』(以上、河出書房新社)などがある。

フェリックス・ガタリ(Félix Guattari)
1930-1992年。フランスの哲学者・精神分析家。ジル・ドゥルーズとともに『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』(以上、河出書房新社)などの歴史的名著を遺す。後年、独自のエコロジー思想を展開した。著書に、『精神分析と横断性』『分子革命』『機械状無意識』(以上、法政大学出版局)『闘走機械』(松籟社)『分裂分析的地図作成法』(紀伊國屋書店)『三つのエコロジー』(平凡社)『カオスモーズ』(河出書房新社)『リトルネロ』(みすず書房)などがある。

宇野邦一(うの・くにいち)
1948年生まれ。立教大学名誉教授。専門は、フランス文学・思想、映像身体論。京都大学を経て、パリ第8大学でドゥルーズのもとで学ぶ。著書に『ドゥルーズ流動の哲学』『非有機的生』(以上、講談社)『パガニスム──異教者のエティカ』(青土社)など。訳書に、『アンチ・オイディプス』『フランシス・ベーコン 感覚の論理学』『襞』といったドゥルーズの著作のほか、サミュエル・ベケット『どんなふう』、ジャン・ジュネ『ヘリオガバルス』(いずれも河出書房新社、後者は共訳)など。

『アンチ・オイディプス ──資本主義と分裂症』

発刊日

2025年12月26日刊行予定

著者

ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ

訳者

宇野邦一

価格

7,150円(税込)

ISBN

978-4-309-22983-6

『千のプラトー ──資本主義と分裂症』

発刊日

2026年2月刊行予定

著者

ジル・ドゥルーズ、フェリックス・ガタリ

訳者

宇野邦一、小沢秋広、田中敏彦、豊崎光一、宮林寛、守中高明

価格

8,800円(税込)

仕様

A5判/上製/712頁

ISBN

978-4-309-23176-1

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