自動車のモデルチェンジのサイクルは、お国柄や各メーカーの意向により様々だが、一般的には４〜５年程度、長くても７〜８年というのが一つの目安とされている。これに対し、ディフェンダーの事実上の先代モデルにあたるランドローバー・シリーズ１が誕生したのは今を遡ること半世紀以上前、1948年のこと。
その後、83年に大規模な改良が加えられ、90年からはディフェンダーの名称が用いられるようになったが、2016年には惜しまれつつも生産を終了。70年近い歴史に幕を下ろすことに。
この系譜を見ても分かるように、今回の新型ディフェンダーの登場は、単なるフルモデルチェンジだけに留まらず、一時的に途絶えた歴史の復活という重要な意義を持っている。

新型ディフェンダーには3ドアの90と、５ドアの110という２タイプが設定されている（90/110という呼称は先代に準ずる）。車体は先代のラダーフレーム＋アルミボディから、軽量かつ剛性に優れたアルミモノコックに刷新。フロントマスクは近年のランドローバー車の流れに沿ったものだが、サイド／リアセクションなど、全体的なシルエットは初代に通じる質実剛健的な骨太さを漂わせている。
この清々しいほどシンプルに徹した造形はインテリアにも反映されており、どこを眺めてもクロームメッキのトリムやウッドパネルといった加飾は皆無。反対に、ドア内張りの隙間からボディパネルを露出させるなど、あえてプリミティブな演出が施されている。もちろん実際の装備面については最新のインフォテイメントを備えた10インチのタッチスクリーンをはじめ、数々の先進機能が盛り込まれている。

エンジンは最高出力300馬力を発生する２リッター４気筒ターボ（ガソリン）を搭載。1500〜4000回転という広範囲をカバーする400Nm(40.8kgm)のトルク特性により、市街地から高速巡航まで余裕に満ちた走りを実現。また５m近い全長を持ちながら、ランドローバー伝統のコマンドドライビングポジションがもたらす見切りの良さのおかげで、狭い道でも取り回しに苦労することは無かった。

ディフェンダーのグレードはスタンダード仕様を基準にS、SE、HSEという４タイプに加え、今年度中の期間限定車としてファーストエディションを用意。さらに「エクスプローラー」、「アドベンチャー」など、趣向に応じたアイテムがパッケージ化された４種類のアクセサリーパックもオプションとして設定されている。懐具合に余裕があれば「全部載せ！」というノリもアリかも知れないが、ディフェンダーはいわゆるラグジュアリーSUVとは一線を画した本格的なクロスカントリーヴィークル。

個人的には装備が必要最低限に絞られたスタンダード仕様を足代わりにガシガシ使う、というスタイルの方が、ディフェンダーのキャラクターにマッチしているように思える。
すでに膨大なバックオーダーが寄せられていることから、実車を目にする機会はまだしばらく先の話になるはず。ぜひ正規ディーラー ジャガー・ランドローバー福岡で、その魅力を存分に体感してみては。