アードベッグ カスク No.3

26億円で売却!アイラ島のシングルモルトスコッチウィスキー『アードベッグ カスク No.3』

公開日

muto編集部

スコットランド・アイラ島のシングルモルトウィスキー「アードベッグ」がリリースしたカスクの中で最も古い1975年製カスク「アードベッグ カスク No.3」が アジアの個人コレクターに1600万ポンド(日本円:約26億円)で売却されました。

「アードベッグ」とは

スコットランドのアイラ島は、世界のウィスキー生産地の中でも独自の地域として存在し、多くのウィスキーファンからも聖地と呼ばれている島です。通称アイラウィスキーと呼ばれるその特徴は、海の香りと、ピートと呼ばれる泥炭に火をつけて大麦麦芽を乾燥するときに生まれるスモーキーな香りが魅力です。

そんなアイラウィスキーの中でも、「アードベッグ」は、1815年に生まれたシングルモルトウイスキー。ピートが非常に強くスモーキーでありながら繊細な甘さと高い品質で人々を魅了してやまないその風味は、“ピーティーパラドックス”との愛称があります。クセになる個性的な味わいから“アードベギャン”と呼ばれる熱狂的なファンに愛されるカルト的な存在であり、世界130ヶ国以上、15万人のコミッティーメンバーに支持される世界で最もピーティーでスモーキーな究極のアイラ・モルトです。

アードベッグ カスク No.3

ウイスキーのカスク史上、最も高額な取り引き

そんな究極のアイラモルトと呼ばれる「アードベッグ」がリリースしたカスク(ウイスキーを貯蔵し熟成させる木樽)の中で、1975年製カスク「アードベッグ カスク No.3」を、アジアの個人コレクターが1600万ポンド(日本円:約26億円)で買ったというニュースが伝えられました。この販売額は、ウイスキーのカスク史上、最も高額での取引となるそうです。

1975年製カスク「アードベッグ カスク No.3」

「アードベッグ カスク No.3」は、アードベッグ蒸留所の2度の閉鎖を乗り越えた、1975年製カスクです。1970年代にはシングルモルトがほとんど造られず、また1980年代と1990年代にはアードベッグ蒸留所が閉鎖されていた時期もあり、アードベッグがリリースしたカスクの中で最も古く、貴重なものです。今回売却された「アードベッグ カスク No.3」は、今後、オーナーのために5年かけてボトリングされ(毎年一定数のボトル)、少なくとも10年間は再現不可能な、唯一無二のアードベッグコレクションとして提供されます。

アードベッグ カスク No.3

現在では、世界各地でカルト的な人気を誇り、数え切れないほどの受賞歴を持つアードベッグですが、今回の「アードベッグ カスク No.3」の個人売却は、アードベッグの約200年の歴史において、これまでのシングルモルトカスクのオークション記録をはるかにしのぐ特別なマイルストーンとなりました。

グレンモーレンジィ社 トマ・モラプールCEOは今回の売却について、「私達のこれまでの道のりを支えてくれたアードベッグコミュニティの全ての人にとって、誇らしいことだと思います。わずか25年前、アードベッグは存続の危機に瀕していましたが、現在では世界で最も人気のあるウイスキーのひとつとなっています。スモーキーなスピリッツを生み出す蒸留所スタッフから、何十年にもわたって樽を管理する熟成庫スタッフ、そしてファンやバーテンダー、コレクターの間でこのウイスキーの評価を高めることに貢献してくれている世界中のチームに至るまで、何世代にもわたる努力の結晶がここにあるのです。この販売による利益の一部、100万ポンド(約1.6億円)は、このカスクを何世代にもわたって大切に扱ってきた蒸留所のスタッフに敬意を表し、アイラ島の活動を支援するために寄付する予定です。」と語りました。

アードベッグ カスク No.3

グレンモーレンジィ社 トマ・モラプールCEO

1975年11月25日に蒸留されたスモーキーでバランスのとれた「アードベッグ カスク No.3」のスピリッツは、バーボンとオロロソシェリーの2つの樽で熟成されました。これらのカスクは、アードベッグの熟練の職人たちによって、38年以上にわたって辛抱強く熟成を重ねてきました。

アードベッグ カスク No.3

アードベッグ蒸留所のメンバー

そして、アードベッグ 最高蒸留・製造責任者ビル・ラムズデン博士は、この2つのカスクを組み合わせて、さらに特別なシングルモルトを造る決断をしました。その誕生から46年以上経った今日、このシングルモルトは、シェリーの特徴、スモーキーな香り、豊かでエレガントな味わいが融合したウイスキーになっています。

アードベッグ カスク No.3

テイスティングノート
色調 : 深いブロンズ色
アロマ : ブラジルナッツとトフィーの香りが広がり、亜麻仁油、カシスの花の香り、甘く芳しいピートスモークとタバコのニュアンスが感じられます。加水すると、ライムやフェンネルなど、さらに複雑な香りが広がります。
味わい : 複雑で豊か、そして驚くほどエレガント。スペアミントのトップノートに、ラプサンスーチョン茶、ビスケット、優しいタールのニュアンスが感じられ、エスプレッソコーヒーと塩キャラメルのタフィーの風味が重なり合います。
フィニッシュ: タール、スモーキーノート、オークの贅沢なハーモニー。

アードベッグ 最高蒸留・製造責任者
ビル・ラムズデン博士

アードベッグとグレンモーレンジィ蒸留所の最高蒸留・製造責任者として、全てのウイスキー造りに携わるビル・ラムズデン博士。バイオケミストリー(生化学)の博士号取得という科学のバックグラウンドと、ウイスキーに携わってきた経験、芸術的センスによってその才能を発揮し、世界屈指のウイスキークリエイターとして数々の賞を受賞。ウイスキー界に革命を起こし、その名を馳せています。その柔軟なアイデアで、ウッド・マネジメントのパイオニアとして、厳選された様々な樽を用いた実験的な試みや追加熟成の技術などで広く知られています。

ビル・ラムズデン博士

ビル・ラムズデン博士

【ビル・ラムズデン博士コメント】
「アードベッグ カスク No.3」は、アードベッグ史上最高の味わいです。アロマはナッツ、ハーブ、スモーキーで、タール、エスプレッソコーヒー、スペアミントの風味は、この年代のウイスキーとしては驚くほど繊細です。この時代の原酒はほとんど残っていないため、このカスクはまさに唯一無二。その複雑なフレーバーは、何十年にもわたってこのカスクを管理してきたアードベッグチームの並外れた技術の証しです。この先5年間、どのように進化し続けるのかますます楽しみです。

アードベッグ カスク No.3

世界的に有名なウイスキー専門家、チャールズ・マクリーン氏は、この「アードベッグ カスク No.3」を評して、”歴史が刻まれた液体、驚異的な作品”と評しています。

アードベッグの詳しい情報は、公式WEBページおよび、Ardbeg Japan Facebookページをご覧ください。
WEB:http://www.ardbegjapan.com/
Facebook:https://www.facebook.com/ArdbegJapan/

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