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漫画家・岡崎京子初の大規模展覧会(世田谷文学館)の開催時に発売された公式図録。原画、単行本未収録作、評論、トリビュート作品など、オカザキを知るための必携本。特別寄稿=小沢健二 デザイン=祖父江慎。
岡崎京子 『戦場のガールズ・ライフ』
日本中が乱痴気騒ぎを繰り返していた80年代。一人の漫画家が時代のエッジを捕らえていた。
そう、あの時代は、岡崎京子の時代だったのだ。それはずっと続くはずだった。
やがて来るバブルの終わりと世紀末、そして、21世紀の希望と絶望をこの漫画家が描くはずだった。
1996年5月、世田谷の自宅近くを歩いていた岡崎京子に不慮の事故が襲いかかる。
それ以降、現在まで続く「休筆」状態。
この本は、2015年、世田谷文学館で開催された「岡崎京子 戦場のガールズ・ライフ」展の図録として制作された。
よしもとばなな、小沢健二、村上隆などが寄稿文を寄せ、作家が残した文章や原画が多数掲載されている。
それにしても、この本のヒリヒリする感触はなんだろう。描くことを中断された作家の残像が激流のように押し寄せてくる。
岡崎京子は、現在も困難なリハビリを続けているという。巻末近くに、本書『岡崎京子 戦場のガ-ルズ・ライフ』発刊の2年前からレッスンをはじめたという視覚操作型のコンピュータ「トビー」を使って寄せた一文が掲載されている。
19年・・・。岡崎京子から届く19年振りの言葉は、なんと痛く、強く、清らかなのだろう。
80年代をともに生きた欲張りな私たちは、ブラボーガールの復活を今も待ち望んでいる。
著者プロフィール
岡崎京子
マンガ家。1963年東京都下北沢生まれ、射手座のB型。小学生の頃からマンガ家を志し、中学時代からイラスト等を雑誌に投稿。短大在学時にデビュー。85年、21歳で初めての単行本『バージン』(白夜書房)を刊行した。以降、マンガ雑誌のみならずファッション、音楽雑誌等にも作品を発表、“東京ガール”として80~90年代の時代の先端に立ち続ける。主な作品に『pink』(マガジンハウス)、『東京ガールズブラボー』(宝島社)、『リバーズ・エッジ』(宝島社)ほか。『ヘルタースケルター』(祥伝社)により、文化庁メディア芸術祭・マンガ部門優秀賞、手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞。映画化(監督:蜷川実花)もされた。1996年に交通事故に遭い、現在、自宅療養中。
Information
書籍名
岡崎京子 戦場のガ-ルズ・ライフ
著者名
岡崎京子
出版社
平凡社
発売年
2015年
価格
2,530円
ISBN
9784582206791