住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
福岡市美術館の新たなシンボル《ウィンド・スカルプチャー(SG)II》
福岡市民の憩いの場所、大濠公園にたたずむ福岡市美術館は、内外の充実したコレクションや様々な企画展で多くの美術ファンが訪れる人気スポットです。
インカ・ショニバレ CBE《ウィンド・スカルプチャー(SG)II》
そのエントランスに今年の7月から突如出現した巨大彫刻!
高さ7m×幅2.5m×奥行き2mの大型野外彫刻作品。
あれっていったいナニ?の真相に迫ります。
インカ・ショニバレ CBE《ウィンド・スカルプチャー(SG)II》
作品を制作したのは、昨年の福岡市美術館リニューアルオープンの記念展で日本初となる個展「「インカ・ショニバレCBE:Flower Power」(2019年3月21日~5月26日)が話題となったイギリス在住の現代美術作家インカ・ショニバレCBE。
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
「インカ・ショニバレCBE:Flower Power」(2019年)の展示風景
インカ・ショニバレCBEとは?
インカ・ショニバレCBEは、1962年英国生まれ。ナイジェリアにルーツを持つ英国在住の現代美術作家です。
インカ・ショニバレ CBE Courtesy the artist and Royal Academy of Arts, London. Photographed by Marcus Leith, 2014.
バイアム・ショウ・スクールで美術を、ゴールドスミス・カレッジ修士課程で芸術学や哲学を学び、2019年に大英帝国勲章第三等爵士(CBE)を受爵します。ポストコロニアルとフェミニズムの思想にもとづき、いわゆる「アフリカンプリント」と呼ばれる布を用いて、植民地主義時代以降連綿とつづく社会の構造に対し、鮮やかに切り込む作品を制作しています。
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
「インカ・ショニバレ CBE:Flower Power」(2019 年)の展示風景
アフリカンプリントをモチーフにした大型野外彫刻作品
設置場所は、大濠公園側のアプローチ広場。作品のモチーフは、「アフリカンプリント」。インカ・ショニバレCBEは、「アフリカンプリント」と呼ばれる布を作品に使用することで知られるアーティストです。「アフリカンプリント」とは、アフリカで現在も服地に用いられているプリント綿布のこと。 原色を中心とする鮮烈な色づかいや奇抜で大きな柄行きが特徴で、近年、ファッションの分野からも世界的な注目を集めています。
西澤株式会社デザイン、山陽染工株式会社製造《植物文様スーパーワックスプリント》1993 年、福岡市 美術館蔵
屋外彫刻作品《ウィンド・スカルプチャー(SG)II》の制作にあたり、インカ・ショニバレCBEは、その柄に福岡市美術館が所蔵する「アフリカンプリント」を選びました。
日本製の「アフリカンプリント」の柄が作品に用いられるのは初めてのことです。この布は、1928年から1990年代までアフリカにプリント綿布を製造・輸出していた総合商社・西澤株式会社が取り扱っていたものです。
長くアジアの染織を研究・収集してきた福岡市美術館は、オランダ製やアフリカ製、日本製のプリント綿布を展示してきました。
現在は、西澤株式会社より寄贈された日本製「アフリカ ンプリント」が福岡市美術館には、28点(79種)所蔵されています。
布が風を受ける瞬間をとらえたウィンド・スカルプチャー
インカ・ショニバレCBEの作品ウィンド・スカルプチャーは、風の彫刻という名の通り、布が風を受ける瞬間をとらえた作品です。
撮影:山中慎太郎(Qsyum!)
「インカ・ショニバレ CBE:Flower Power」展オープニングに来福したインカ・ショニバレ CBE
この最初のシリーズは、様々な色と柄の8体が制作されました。2018年には、布のはためく様子をさらに複雑な形で表し、スケールアップした《ウィンド・スカルプチャー(SG)》が発表されました。SGは第2世代(Second Generation)の略で、福岡市美術館に設置されるのはSGの2作目です。
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