2020/05/04

GOOD TIMES FOR A CHANGE【 いまモリッシーを聴くということ / ブレイディみかこ 】

(こんな時こそ)mutoオススメの一冊。
話題のベストセラー「ぼくはイエローでホワイトで、ちょってブルー」の著者フレイディみかこさんは、福岡の街で育ち、UKのパンクムーヴメントの洗礼を受け単身渡英。本書は、現在、超売れっ子のフレイディみかこさんの隠れた名著です。すべての音楽ファンと現代社会に疑問を持つパンクなあなたにオススメの一冊です。

リブロプラス・野上由人

リブロプラス・野上由人

『子どもたちの階級闘争』(みすず書房)で2017年の新潮ドキュメント賞を受賞したブレイディみかこは、いま最も人気のある左派論客のひとりと言っていいだろう。
福岡出身、イギリス在住のコラムニストで、保育士をしながら「地べた」からのリポートを発信し続けている。

著書のタイトルを並べてみよう。
『花の命はノー・フューチャー』、『アナキズム・イン・ザ・UK』、『ザ・レフト UK左翼セレブ列伝』、『ヨーロッパ・コーリング』・・・これでおわかりの通り、「パンク」の人である。

『ザ・レフト UK左翼セレブ列伝』においても左翼セレブとして取り上げられていた、モリッシー。
言うまでもなく、80年代ポスト・パンクを代表するバンド「ザ・スミス」のフロントマンで、解散後もソロで活動する現役のミュージシャンだが、本書は、彼のディスコグラフィを振り返りながらイギリスの政治=文化を描こうとする音楽批評だ。

いまモリッシーを聴くということ/ブレイディみかこ

80年代のイギリスといえば、政治的にはサッチャーの時代。民営化と規制緩和で政府の縮小を図る元祖・新自由主義。失業率が上がり、貧富の格差が拡大した。
他方、ポップ・ミュージックの歴史においては、70年代後期のパンク/インディース革命を引き継いだ多数のポスト・パンクバンドが活躍する時代。
ニュー・ロマンティックやスカ、ネオ・アコースティックなど、多様多彩な音楽が登場し、その後の日本のミュージシャンにも大きな影響を及ぼす。
サッチャーとポスト・パンク。どちらも有名だが、それぞれ別々の文脈で受容している日本人も少なくないだろう。

モリッシーを接点として、両者を繋いでみることで、イギリス史が立体的に見えてくる。
モリッシーは、なぜアンチ・サッチャーのアイコンとなりえたのか、あの時代に何を歌い、何を語ったか。何と闘い、何を守ろうとしたのか。そして時代の変化とともに、モリッシーはどう変わり、また変わらなかったのか。

著者の幅広い見識と熱意溢れる解説で、その全体像が掴める好著。
きっと、ザ・スミスのデビューアルバムから順に聴いてみたくなる。

著者プロフィールブレイディみかこ
1965年福岡生まれ。県立修猷館高校卒。
音楽好きが高じてアルバイトと渡英を繰り返し、1996(平成8)年から英国ブライトン在住。ロンドンの日系企業で数年間勤務したのち英国で保育士資格を取得、「最底辺保育所」で働きながらライター活動を開始。
2017年『子どもたちの階級闘争』で新潮ドキュメント賞を、2019(令和元)年『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』でYahoo!ニュース|本屋大賞2019年ノンフィクション本大賞を受賞。他の著書に『THIS IS JAPAN』『ヨーロッパ・コーリング』『女たちのテロル』などがある。

Book Information

書籍名

いまモリッシーを聴くということ

著者名

ブレイディみかこ

価格

2,100円(税別)

出版社

P-VINE

発売日

2017年4月

ISBNコード

9784907276799

この記事の評者について

野上由人(のがみゆうと)

野上由人/のがみゆうと

1972年東京生まれ。立教大学法学部卒業後、株式会社リブロ入社。
渋谷店店長、商品部マネジャーなどを経て、2011年〜2014年までリブロ福岡天神店・店長。
現在、株式会社リブロプラス 営業本部長 兼 商品部部長。

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