最果タヒ

スマホで詩を書く現代詩人
『最果タヒ展』開催中

公開日

muto編集部

「最果タヒ 詩の展示」展示風景(横浜美術館、2019年)
撮影:山城功也

詩人・作家の最果タヒによる展覧会「最果タヒ展 われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。」が、福岡の三菱地所アルティアムで開催されています。

最果タヒとは?

中学生のころからブログなどで言葉の発表を始めた現代詩人・最果タヒ。
2006年、雑誌への投稿作品が第44回現代詩手帖賞を受賞しました。
翌年に刊行した第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。
その後、本やインターネット上だけでなく、SNSの活用、作詞、詩集の映画化、商業施設とのコラボレーションなど、幅広い場所で作品を発表してきました。

最果タヒ

「最果タヒ 詩の展示」展示風景(横浜美術館、2019年) 撮影:山城功也

『最果タヒ展』
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。

今回は「詩の展示」。
読者が会場を歩き回り、空間全体で言葉を体感するインスタレーションです。

なかでも、天井から多数の言葉が書かれたモビールを吊るす《詩になる直前の、アルティアムは。》は重要な作品の一つ。
表裏に異なる詩の断片が記された、静かに揺れ動くモノトーンの紙片はいくつもの言葉の連なりを生み出し、その偶然から詩を切り取るのは読者自身です。

この展示を始め、最果タヒは書き下ろし作品を含む自らの詩を大胆に断片化し、空間いっぱいに展開させます。
つまり会場にあるのは、作品があなたに読まれ、初めて意味を持つものであってほしいと願う、最果タヒによる「詩になる直前」の言葉たち。
それらを追いかける体験を通して、自分の心が動く言葉やその瞬間、あるいは、目が「無意識に読んでいる」感覚に気付くような、言葉との新たな出会いが生まれるでしょう。

最果タヒ

本と美術の展覧会vol.2「ことばをながめる、ことばとあるく――詩と歌のある風景」(太田市美術館・図書館、2018年)会場風景、撮影:吉江淳、提供:太田市美術館・図書館

展覧会に寄せて

言葉は、常に運動をしている。何億人もの人がその言葉を用い、それでいて、それぞれが少しずつ違った意味や印象を、言葉の向こうに見出している。だからこそ言葉は、刻々と変化し、運動を続けている。
わたし一人が、言葉を一方的に、道具として用いることなどできず、常に、言葉が抱える無数の意味や価値の渦に巻き込まれていく。そのコントロールのできなさ、言葉に振り回される瞬間に、わたしは「言葉に書かされている」と感じます。それは時に、わたしよりも深く「わたし」を捉える言葉となる、わたしを飛び越えた、別の何かへと変貌する言葉となる、それこそが、わたしにとっての「書く喜び」です。言葉がわたしの代弁者として、世界へ出ることなどありません。わたしはいつも置き去りにされ、そこが痛快であるのです。
知らない自分に、言葉で会うこと。それは、自分の底さえ突き破り、その向こうの、自分ですらないものへと、繋がることだ。だからこそ言葉は、書かれ、他の誰かに読まることをじっとじっと待っている。

詩の展示。
言葉が、わたしを飛び越える。
それは、「読む」瞬間もきっと同じです。読むことは、与えられた言葉を受動的に読むのではなく、その言葉を自分だけの言葉へと変容させていく行為だと思う。そのとき、言葉の変化は、読むその人の予想を、そしてその人自身を、時に追い越していくだろう。それは「書かれた言葉」のスピードであると、読み手は思うのかもしれない。けれど、あなたも加速している、あなたの言葉が、加速している。そのスピードを、肌で、気配で、空間として、感じられる場所を、私は「詩の展示」と呼んでいます。

われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。
あなたしか立つことのできない確かな星から、どうか、言葉を見に来てください。   最果タヒ

                

最果タヒ

本展メインビジュアル

最果タヒ(Tahi Saihate) 詩人・作家
1986年生まれ。2006年、現代詩手帖賞受賞。2008年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞を受賞。2015年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。その他の主な詩集に『空が分裂する』『夜空はいつでも最高密度の青色だ』(同作は2017年石井裕也監督により映画化)。
エッセイ集に『きみの言い訳は最高の芸術』『「好き」の因数分解』、小説に『星か獣になる季節』『十代に共感する奴はみんな嘘つき』などがある。作詞提供もおこなう。清川あさみとの共著『千年後の百人一首』では100首の現代語訳をし、翌年、案内エッセイ『百年一首という感情』刊行。2017年にルミネのクリスマスキャンペーン、2018年に太田市美術館・図書館での企画展に参加、2019年に横浜美術館で個展開催、HOTEL SHE, KYOTOでの期間限定のコラボルーム「詩のホテル」オープンなど、幅広い活動が続く。最新刊は、翻訳小説『わたしの全てのわたしたち』(サラ・クロッサン/著)(金原瑞人との共訳)、絵本『ここは』(及川賢治/絵)。
公式サイト http://tahi.jp/

information

名称

最果タヒ展
われわれはこの距離を守るべく生まれた、夜のために在る6等星なのです。

会期

2020年8月8日(土)− 9月27日(日)

休館日

会期中休館日なし

開館時間

10:00 - 20:00

入場料

一般:400円  学生:300円

会場

三菱地所アルティアム(イムズ8F)

住所

〒810-0001 福岡県福岡市中央区天神1-7-11 イムズ8F

お問い合わせ

092-733-2050