地域の魅力発見や芸術文化の醸成を目指すアートプロジェクト「芸術実験」

公開日

muto編集部

朝倉市で開催される「芸術実験」とは、地域の魅力発見や芸術文化の醸成を目指し、日常の中にアートを見出す喜びや感動を共有するアートプロジェクト。3月1日(土)から16日(日)にかけて開催される今回は、旧朝倉街道筋に位置する3つの会場が舞台となります。

「地域と芸術の関係性 / 空間との共鳴」をテーマに歴史的価値を持つ建造物でアートを展開

会場となる3つの施設「旧比良松郵便局」「篠崎醤油蔵」「大正長屋」は、それぞれ歴史的価値を持つ建物です。旧比良松郵便局は明治7年に建てられた建造物で、かつて地域の郵便業務を担っていた場所。篠崎醤油蔵は、地元の醤油造りの伝統を今に伝える貴重な空間で、醤油の香りとともに地域の歴史を感じることができます。そして、大正長屋は、朝倉街道の往時を偲ばせる場所で、かつての暮らしを垣間見ることができます。こうした空間のもつ特性や歴史性を活かし、「空間との共鳴」をテーマにした作品が展示されます。

招待作家として参加する光行洋子氏は、故郷の自然から得た感性の蓄積を根底に、鮮やかな色彩と洗練されたフォルムによるモダンかつリリカルな抽象画を描きだす作家です。さらに、公募により選ばれた作家11名がイベントに参加します。

旧比良松郵便局
演劇空間ロッカクナット×加茂慶太郎氏は、“演劇的なできごと”を立体作品によって表現します。染め織作家の中園唯氏は、メッセージを運ぶ小鳥をイメージした柔らかな作品を展示。正面壁面には、宮野英治氏による、ねぶたの技法で制作した作品が設置されます。津川数実氏は、「旧比良松郵便局」と「篠崎醤油蔵」の二カ所で、それぞれの空間との親和性を図りながら和紙に醤油、又は水彩での描画インスタレーションで参加。シンプルでスタイリッシュな作風の竹村さくら氏も、同じく2カ所で、街や建物に眠る、誰かの記憶を感じさせるような作品を制作します


篠崎醤油蔵
往時の雰囲気そのままで残っている木桶の中に作品を設置し、地域、そして来場者を巻き込むアプローチをかけるのは、三本木歓氏。視覚、嗅覚、味覚(イメージとしての)にも揺さぶりをかける作品となります。彫刻家の山口貴一氏は、この蔵に眠る予備木材で作品制作し、歴史的な背景と、醤油蔵の新たな姿を作り出します。醤油蔵敷地内の、モニュメント的な建造物の煙突を作品にするのは、冨永剛氏。私たちが忘れてしまった、かつてあった風景を作品にします。髙石次郎氏が蔵の一隅で行うのは、粘土を介した“クレイマッチ”というコミュニケーションの一つの形。アートをただ観るだけでなく“つくること”に自然と向かうようなゲームです


大正長屋
全体的に落ち着いたトーンの空間で、ビビッドでユニークなインスタレーションを行うのは枝松遼氏。流れる時間が可視化されるような作品となります。何も映し出さない映像を探求する長野光宏氏による実験的な映像作品は、静かで美しい。総勢12名の作家それぞれの視点と技法で作られた作品 が各会場で展示されます


本イベントでは、アートが日常に溶け込むとき、どのような変化が生まれるのかを探ります。アートは、特別な施設や、非日常な場所でしか触れられないものではなく、また、特別な誰かのだけのものではない…そんなメッセージを込めて、地域に存在するユニークな空間で開催しています。アート好きな方だけでなく、普段アートに触れる機会が少ないと感じている多くの方にとっても、親しみやすさや、面白さ、時に感じる違和感を通じて、地域での新たな対話が生まれることを目指します。歴史ある空間を舞台にしたアートと地域の新しい関係性をぜひ現地で体感してください。

Information

イベント名

第4回芸術実験「旧比良松郵便局と篠崎醤油蔵」

開催日

3月1日(土)~16日(日)

会場

旧比良松郵便局(朝倉市比良松453) / 篠崎醤油蔵(朝倉市比良松454) / 大正長屋

問い合わせ先

contact@gallerycobaco.com

招待作家

光行洋子

参加作家

枝松遼(粕屋郡) / 三本木歓(東京都) / 演劇空間ロッカクナット×加茂慶太郎(糸島市 / 大野城市 / 福岡市) / 髙石次郎(太宰府市) / 竹村さくら(福岡市) / 津川数実(福岡市) / 冨永剛(福岡市) / 中園唯(久留米市) / 長野光宏(福岡市) / 宮野英治(北九州市) / 山口貴一(三重県名張市)

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