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NY在住アーティスト 田島美加の個展を開催|太宰府天満宮アートプログラム

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muto編集部

2006年から展開する太宰府天満宮アートプログラムの第11回目として、ニューヨーク在住のアーティスト、田島美加(ミカ・タジマ)の個展を開催。目に見えるようになること、知覚されること、または、ある証拠によって明らかにされることを意味する「Appear」をテーマにしたこの個展では、太宰府天満宮への考察から生まれた10点の新作が展示されます。

海外で高い評価を受ける田島美加の作品を、日本で初めての規模で紹介

日本人の両親のもとロサンゼルスに生まれ、現在はニューヨークを拠点に活躍する田島美加。彼女の代表作とも言える、熱成形された透明なPETG樹脂を使った 「Art d’Ameublement(=Furniture Art)」シリーズは、フランス人作曲家エリック・サティが提唱した、生活空間に溶け込む音楽という意の“Furniture Music”にちなんでいます。支持体の片面に絵の具を付着する従来の絵画とは異なり、霧状の絵の具の粒子を内側に封じ込めた色のグラデーションで描かれています。

また各作品には遠隔地の名称の副題がつけられ、鑑賞者と作品との距離感を暗示。今回太宰府で彼女が発表する「Art d’Ameublement」は、境内に常設される《Echo》の類似作品では、初めて蓄光性の材料が用いられています。展示室の日々の光とブラックライトに晒された作品はエネルギーを蓄え、暗闇で時折、儚い光を放ちます(写真下)。

田島美加 ミカ・タジマ Art d'Ameublement
田島美加 ミカ・タジマ Art d'Ameublement

Art d'Ameublement (Karena Maihiva)
2021
182.9 x 137.2 cm

太宰府に滞在し、リサーチをすることで生み出される作品

「太宰府天満宮アートプログラム」では、太宰府での滞在や取材を経て制作された作品を地域の財産として収蔵・公開することで、文化活動を牽引していく役割を担います。

「Negative Entropy」シリーズは、音源データを抽象的に解釈・構成したテキスタイル・ペインティングで、田島が滞在中に触れた太宰府天満宮の御本殿に参拝する人々と日々の祝詞を記録した作品です。音を媒介にして神社の日常的な情景を抽象的なイメージとして可視化したこの作品は、ある意味太宰府天満宮の肖像画と言えるのかもしれません。

同時にアルゴリズムコンピューティングの原型とも言えるジャガード織機で織られたこの作品は、テキスタイルとデジタル生産の歴史、つまりは物質と非物質の世界が絡み合っていることを示しています。

田島美加 ミカ・タジマ Negative Entropy

Negative Entropy (Dazaifu Tenmangu, Morning Prayer and Offerings, Gray, Quad)
2020
186.4×142.6×5.7 cm

太宰府天満宮ならではの素材と技術を取り入れる

「Anima」は吹きガラスによる彫刻の新シリーズ。ラテン語で「Anima」は、「呼吸」「命」または「生命力」と訳されます。

この作品では、ガラスを吹くときの呼気が目に見える形として捉えられています。体の器官または深海や進化の過程にある生物のようにも見え、ブロンズ製のジャグジーのジェットノズルによってガラスの表面に空けられた穴は、息の放出を意味し、エネルギーの解放や循環を感じさせます。また、この作品の台座には、太宰府の千年樟が用いられています。

田島美加 ミカ・タジマ Anima 9

Anima 9
2021
38.1 x 48.3 x 35.6 cm

田島美加 ミカ・タジマ ポートレート

田島美加 / Mika Tajima
1975年ロサンゼルス生まれ
現在はニューヨークにて制作活動中
彫刻、建築、音楽、パフォーマンスなど多様な要素を組み合わせた作品で知られる。日本では2013年に森美術館(東京)の「六本木クロッシング 2013:アウト・オブ・ダウト」展に参加、モダニズム建築の巨匠コルビュジエの作品を自身の作品と組み合わせたインスタレーション等で高い評価を得る。また、2022年5月21日から6月18日までTARO NASU(東京)での個展「Spectral」開催も決定

太宰府天満宮アートプログラムとは?
「文化の神様」である菅原道真公をご祭神としてお祀りしている太宰府天満宮は、人々が行き交い集う場としての「開放性」と、1,100年以上昔から変わらない天神信仰の場としての「固有性」という2つの性質を併せ持っています。この2つのキーワードをテーマに掲げ、2006年より行っているのが「太宰府天満宮アートプログラム」です。さまざまな分野において第一線で活躍中のアーティストを招き、太宰府での取材や滞在を経て制作された作品の公開を全面的にサポートすると同時に、これらの作品を地域の財産として収蔵することで、文化活動を牽引していく役割を担っています。太宰府天満宮ならではの「開放性」「固有性」と、それぞれのアーティストが持つそれらが重なり合うことで、アーティストの視点を通した新しい太宰府や太宰府天満宮の一面が映し出されます。
これらは新たな文化や歴史として、ここ太宰府の地から世界へ、そして未来へ向けて発信されていきます。

Information

イベント名

太宰府天満宮アートプログラム vol.11
田島美加 「Appear」

開催期間

2022年5月15日(日)~ 10 月10 日(月・祝)
※7/18・7/25・9/19・10/10 を除く月曜休館

開館時間

9:00~ 16:30(入館は16:00まで)

観覧料

一般500(400)円・高大生 200(100)円・小中生100(50)円
※( )内は 30名以上の団体料金、障害者手帳提示により付添者1名まで半額料金

会場

太宰府天満宮宝物殿および境内(福岡県太宰府市宰府4-7-1)

主催

太宰府天満宮

協力

TARO NASU

展示監修

スーパーファクトリー

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