住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。
古き良き博多の風情を今も残す福岡市博多区綱場町に佇む、本格的なフランスワインと希少なチーズを揃えたワインバー。オーナーソムリエの西良二さんにフランスの食文化の楽しみ方を聞きました。
“Le Comptoir W ル・コントワール・ドゥブルヴェ”
古き良き博多の風情を今も残す福岡市博多区綱場町に、本格的なフランスワインと希少なチーズを揃えたワインバーがあります。オーナーソムリエの西良二さんは、福岡で生まれ、ホテル専門学校を出て、ハウステンボスのホテルヨーロッパでキャリアをスタートさせました。その後、博多に戻りフレンチの名店、レストランひらまつで8年、レストラン・ジョルジュ・マルソーで11年間ソムリエとして働いた後、昨年の5月に、ワインバー“Le Comptoir W ル・コントワール・ドゥブルヴェ”をオープンしました。
Le Comptoir W ル・コントワール・ドゥブルヴェのコントワールとは仏語でカウンターという意味、Wはドゥブルヴェと読む(フランス語のWはダブルV、2つのVという意味)。
ワイン用語で「古い樹」 Vieilles Vgnes(ヴィエイユ ヴィーニュ)という言葉があるが、古い樹は大地にしっかりと根をはり、地中深くから養分を吸い込み良いブドウを実らせるように、博多の綱場町にしっかり根付きお客様に愛される店にしたいという願いが込められています。
フランスのワイン、リキュール、ブランデーを中心に取り揃え、なんといってもフランス産のチーズが常時20種類以上揃っており、九州ではほとんど流通に乗っていない珍しいチーズも用意されています。
白かびタイプ、ハードタイプ、シェーブル(ヤギのミルク)、ウォッシュタイプ(お酒で洗ったもの)、ブルーチーズなど贅沢な品揃え。チーズの世界もワインと同じように広く深いものです。
フランス料理とワイン、そしてチーズの役割とは?
本来、フランス料理でのチーズの役割とは、メインのお肉を食べ終わった後、デザートの前に出てくるもの。
フランスの食文化の真髄を極めるお店で長く働いてきた西さんは、フランス料理とワイン、そしてチーズの役割にはとても大事な意味があると教えてくれました。
「チーズは、フランス料理にかかせないものですが、日本のほとんどのフレンチレストランでは、チーズのポジションが省略されています。」
「東京のグランメゾンといわれるいくつかのレストラン以外のほとんどのフレンチレストランでは、チーズにこだわった店というのは少ないですね。」
ロックフォールの刺激的な青カビの香り、ミルキーな甘味、そして塩味。シャンパンの発泡が口いっぱいにブルーの香りをひろげ、柔らかな酸味がチーズの甘味と塩味をより引き立てます。
フランスのロレーヌ地方で作られるウォッシュタイプのチーズ『ミラベラ』アルザス地方の特産物『ミラベル』(西洋すもも)から作ったフルーツブランデーで洗いながら熟成します。
では、なぜメインのお肉を食べて、お腹いっぱいの後にチーズを出すのか?
「チーズには、消化作用があります。チーズを食事の中に挟むのは、食事の重さが翌日、胃に残らないようにする意味があるのです。」
「フランス料理には料理を出す順番にも理由あります。例えば、食前にはシャンパンやキリッとした辛口の白ワインをお勧めします。それらは酸味が強く、食事前に飲むことによって唾液が分泌され食欲がわく効果があります。」
ロックフォール カルル社は、家族経営で攪拌、パンから採取した青かび振り、塩付けにいたるまでの昔ながらの工程を手作業で行う。ドゥブルヴェは生産者のこだわりを提供しています。
上手なワインの楽しみ方
初心者にとっては、ワインやチーズの世界もどこから入ればよいのかわからないというのも悩みの種、西さんに上手なワインの楽しみ方を聞いてみました。
「まずは、自分の好みのワインを見つけること。そして料理の組み合わせでワインを考えると楽しめると思います。例えば、料理の色とワインの色を合わせるというのもコツのひとつです。赤身のお肉には赤ワインというのは定番ですが、お肉でも、鶏肉や豚肉は、白ワインで合わせても美味しいです。魚の中では、マグロやサーモンはロゼが合いますね。」
フランスの歴史・伝統、そして食文化に魅了され
フランス料理を通じて食文化の大切さを感じ自身の店を始めた西さん。
「最初の就職先は、ハウステンボスのホテルヨーロッパです。配属はラウンジでしたが当時、日本のフランス料理を牽引したシェフの一人、上柿元勝さんのエリタージュで働くことに憧れていました。」
「レストランひらまつには、家一軒が買えるような絵画が飾ってあったり、カトラリーやお皿、調度品なども一流のものが揃っています。それに囲まれて毎日働いているわけですから、おのずと本物とは何かがわかってきました。ひらまつには、ワインの在庫が何万本あり、お客様がワインを注文されるとソムリエはテイスティングしますから、その経験はかけがえのないものでした。
「ジョルジュマルソーでは、レストランの仕事のすべてを学ばせてもらいました。独立するためのノウハウもこのレストランでの経験です。」
さりげなく置かれたカトラリーは、クリストフルのアンティーク、お店のロゴは、mutoのデザイナーでもある内尾健司氏によるもの。また店内の椅子は、西さんが暮らす糟屋郡久山町にあるイトウ家具製作所にオーダーし制作されたもの。
サービスの素晴らしさを継承していきたい
“Le Comptoir W ル・コントワール・ドゥブルヴェ”に揃うワインは全てフランスワイン。
グラスは800円〜2,000円、
ボトルは、白・赤とも3,500円から
シャンパンは9,500から。
もちろん、何十万のワインも揃っています。
ワイン、チーズに加え少しのお料理も用意されている。(お料理は、その日の仕入れなどでメニューが変わります)
糟屋郡 久山町の『やよい豚』フィレ肉をしっとりと柔らかく低温ロースト。香ばしい焦がしバターソースで。
ドゥブルヴェのスパイスカレー 。
「料理が美味しいが100%、美味しいワインとサービス加わればお客様に130%の満足を提供できる、そう思いながらずっとサービスの仕事を続けてきました。」
「今は、有名シェフが華やかな場所にいて、サービスの価値が評価されない時代かもしれません。美味しいが楽しいだけになっている。それはそれでいいのですが、プロフェッショナルの作法というものもあります。それを継承していきたいと思います。」
手作りシフォンケーキのテイクアウト販売も
お昼は、久山の自然の恵みをいただいた、たまごfuwariなシフォンケーキをテイクアウトで販売しています。
各300円/バニラ、焙じ茶、あまなつ、塩キャラメル、コーヒーなど種類も豊富です。
九州産小麦粉、ミネラルたっぷりのきび砂糖、季節の果物、国産米油など安心な食材を使った奥様の手作り。
ル コントワール ドゥブルヴェ『fuwari』のシフォンケーキの販売は
火曜日〜金曜日の11時〜
オーナーソムリエの西良二さん
店名
Le Comptoir W / ル・コントワール・ドゥブルヴェ
住所
〒812-0024 福岡県福岡市博多区綱場町5-23-201
電話番号