国内の直営店としては東京、愛知、大阪などに続き６番目となるテスラ福岡。九州地区ではこれまでテスラ車に関心があっても、その内容を詳しく知るにはweb上のバーチャルな情報に頼るしか無かっただけに、常設ショールームが作られたことは「次は電気自動車を」と乗り換えを検討中の方はもちろん、早耳のクルマ好きにとっても嬉しいニュースと言えるだろう。

ショールームといっても車両の展示スペースとMARK ISももちの店舗部分との間を隔てる仕切りは無く、日用品のお買い物ついでにもふらりと立ち寄れるカジュアルさを前面に押し出した佇まいとなっている（ちなみに、隣はクレープ屋さん）。

テスラと言えば電気自動車のメーカーというイメージが強いが、同社の事業基盤は太陽光発電システムなどクリーンエネルギーの設計・製造にあり、そのスケールはハワイ・カウアイ島全土の電力供給をまかなうなど、想像を遥かに超える。サスティナブルな取り組みへの意識も非常に高く、森林保護の観点からペーパーレス化を徹底。ストア内もカタログやチラシの類は一切、置かれておらず、車両だけがシンプルにディスプレイされた光景はとても印象的であった。

テスラ福岡にはモデル３の試乗車が常備されている。いつもなら取材協力先からキーケースを拝借し、そそくさと試乗に出かけるところだが、このクルマの場合は勝手が少々異なり、アドバイザー（テスラではセールスマンとは呼ばない）からのレクチャー無しに走り出すのは困難。まずテスラに乗り込むには専用のカードキー、もしくはアプリをダウンロードしたスマホが必要となる。シートに座ると目の前にはステアリングがあるのみで、コントロールに関するすべての機能はセンターの15インチタッチスクリーン内に集約されている。

内装のデザインも驚くほどシンプルだが、シート表皮はレザーではなく合皮、クロームのトリム類も使用していない。テスラは高い環境性能を備えたプレミアムなブランドであって、ラグジャリー性を目指したブランドでは無いという点も納得。しかし、ドアミラー、ステアリングの角度位置などもすべてタッチスクリーン経由での設定となり、これについては超アナログ思考の筆者は正直、納得しかねる気持ちもあったが、一度設定すればその情報はスマホに記録されるため、次回からは自動的にクルマの方が乗り手に合わせてくれるとのことだ。

ひと通りのレクチャーが終わり、ようやく試乗に。イグニッションスイッチの役割はブレーキペダルが果たしており、ペダルを踏み込むことでシステムが起動。乗り味は軽快そのもので、適切な回生レスポンスにより違和感の無いワンペダルドライブも可能。走行中はスクリーン上に周囲の状況が立体画像で表示される他、360度カメラと超音波センサーとの連動により、側道からの飛び出しや割り込みにもブレーキがすばやく反応し、赤信号では完全停止まで車体を制御。ソフトウエア関係は定期的にアップデートが図られ、クルマは常に最新のスペックに保たれるため、従来のようにマイナーチェンジで悔しい思い（笑）をしなくてイイことも、テスラを選ぶ大きなメリットと言えるだろう。

取材車のモデル３（２モーター・AWD）・ロングレンジ仕様の場合、満充電時の走行距離は689km。さらに静止状態から100km／hまでの加速は4.4秒という実力も秘めている。今回は限られた時間内での試乗ではあったが、開発のスタート段階から内燃機関（最近ではEVに対し、ICE＝Internal　Combustion　Engineなどと呼ばれているようだが）とは異なった独自の視点に基づく骨太な設計思想には、まさに目からウロコが落ちまくり。

ぜひ貴方もテスラ福岡で、新鮮な感動体験を味わってみては？