2011年、東日本大震災という未曽有の災害が日本を見舞った年に、東京バレエ団はバレエ界のトップスター、シルヴィ・ギエムの「日本を応援し元気づけたい」という呼びかけに応えて＜HOPE JAPAN＞と題し、ベジャール振付「ボレロ」を含むツアーで被災地の東北ほか全国各地を巡演しました。

あれから10 年、今度はコロナ禍という未知の疫病が蔓延し、私たちの暮らしと社会を、そして舞台芸術の存在まで脅かしています。そのような中、東京バレエ団は再び「ボレロ」を中心としたプログラムで、舞台を通じて人々へ希望と社会復帰のエールを全国に届けます。

東京バレエ団は、1964年に創設。3年目の1966年にはモスクワ、レニングラードで公演を行い、ソビエト文化省より”チャイコフスキー記念”の名称を贈られました。創立以来一貫して、古典の全幕作品から現代振付家の名作まで幅広いレパートリーを誇ります。モーリス・ベジャール、イリ・キリアン、ジョン・ノイマイヤーら現代バレエ界を代表する三大振付家によるオリジナル作品を上演しています。21のベジャール作品をレパートリーに持ち、モーリス・ベジャール・バレエ団とは兄弟カンパニーとして認められています。

これまでに日本の舞台芸術史上始まって以来の34次775回の海外公演を行い、”日本の生んだ世界のバレエ団”として国内外で高く評価されているバレエ団です。

東京バレエ団全国ツアーHOPEJAPAN2021東日本大震災10年/コロナ禍復興プロジェクト福岡公演は、7月10日（土）16時より福岡シンフォニーホールにて開演されます。待望のプログラムは、「ボレロ」（ベジャール振付） 、「ギリシャの踊り」（ベジャール振付）、「パキータ」（プティパ振付）

注目の「ボレロ」は、ラヴェルの名曲を20世紀の巨匠ベジャールが振り付けた傑作であり、東京バレエ団プリンシパル上野水香が主演します。

ステージでは、赤い円卓の上の“メロディ”と周囲を取り囲む“リズム”で表現しています。その簡潔さゆえに踊り手の本質をさらけ出す迫力のステージと、変奏していく音楽に合わせて高まる高揚感が、観る者すべてを魅了させてくれます。

1846年、パリで誕生したバレエ『パキータ』は、ジョセフ・マジリエの振付、カルロッタ・グリジとリュシアン・プティパ（マリウス・プティパの兄）が主演したことで知られていますが、マリウス・プティパによる『パキータ』 は翌1847年9月、彼のサンクトペテルブルク・デビュー作として初演されました。
舞台はスペイン、フランス将校リュシアンはジプシーの少女パキータに出会い、惹かれ合います。嫉妬による陰謀で毒酒を盛られたリュシアンがパキータの機転で救われると、リュシアンはパキータに求婚します。実は彼女は貴族の娘であったことが判明し、二人はめでたく結ばれます。ソリスト、群舞の見せ場がふんだんに散りばめられた終幕の結婚式の場面は、プティパがのちに付け加えた場面で、しばしば抜粋で上演される人気演目として定着しています。

HOPE JAPANのイメージロゴ及びイメージヴィジュアルは、アーティスト・デザイナー髙田賢三氏によるものです。髙田賢三氏は2011年の東日本大震災の後、シルヴィ・ギエムが立ち上げた〈HOPE JAPAN〉公演のためにこのヴィジュアルを提供されました。髙田氏は昨年10月に逝去されましたが、今回の〈HOPE JAPAN 2021〉開催にあたり、“復興のシンボル”として再び使用することを髙田氏の事務所に快諾いただいたそうです。