
住む憧れ「グランドメゾン」の人気の理由。

公開日
muto編集部
奇岩とダイナミックな自然が迫る『クラビ』は、プーケットやパタヤと並ぶタイを代表的なリゾート地の一つ。そんなクラビへ今回はトリップしました。
タイの数あるリゾートの中でも、日本では知る人ぞ知る場所と言えるのが「クラビ」です。そんなクラビについて少し解説します。
クラビはタイの首都・バンコクから南西へ約800kmの場所に位置し、バンコクからは飛行機で片道約1時間20分ほど。大きな特徴は石灰岩の岩壁(ライムストーン)とアンダマン海に面したエメラルドグリーンに輝く海で、ビーチリゾートとしてヨーロッパ圏や中央アジア圏の人が多く訪れます。また、沖合には130以上の島が点在し、そのダイナミックな景観を鑑賞するカフェやツアーなども人気。喧騒から離れて心からの静けさと雄大な自然が堪能できる大人のリゾートとして人気を博しています。
今回案内してくれた「タイ国政府観光庁」が設けたクラビトリップのテーマは「ウェルネス&サスティナブル」。つまり、より健康的で自然との共存が意識できる場所が目的地なのです。
まず私たちが訪れたのは、クラビのスピリットマウンテンで2025年12月5日から7日の3日間に渡り開催された、地域の再生と持続可能な未来を目指すイベント「Krabi Rewild(クラビ・リワイルド)」。このイベントは、ウェルネスとサステナビリティを核に据えた地域コミュニティ「Krabi Hotel Association」と「NatureMind-ED」が主体となり推進。クラビの豊かな文化、壮大な自然、そしてそこに暮らす人々を有機的に結びつけ、内発的な発展を促すためのプラットフォームとしての役割を担っています。
会場には、手作りの製品からオーガニック食品まで、責任ある方法で作られたユニークな商品に出会える「ECO MARKET(エコ・マーケット)」、瞑想やサウンドヒーリングを体験できる「サウンド・ケーブ」、そしてマインドフルな動きを促す「クライミングウォール」などが用意された「MIND & BODY GARDEN(マインド&ボディ・ガーデン)」、土地に寄り添った暮らし方を実践的に学ぶ「NATURE’S CLASSROOM(ネイチャーズ・クラスルーム)」、音楽、文化、人々との繋がりが融合する「CAVE STAGE(ケイブ・ステージ)」、環境リーダーや専門家、チェンジメーカーが集結する「SHARING STAGE(シェアリング・ステージ)」、アートを通じて環境問題や文化遺産について思索を促す展示スペース「ART OF CONSERVATION GALLERY(アート・オブ・コンサベーション・ギャラリー)」という6つのエリアを展開。サステナビリティやウェルネスを抽象的な概念としてではなく、具体的で実践的なアクティビティを通じて五感で体験できました。




会場入り口すぐに設けられた「SHARING STAGE」をはじめ、物販やマッサージ行われる「ECO MARKET」、岸壁前に設けられた「 MIND & BODY GARDEN」や「CAVE STAGE」など、クラビならではの特徴を捉えたエリアが満載。




ワークショップが集まる「NATURE'S CLASSROOM」では、海洋ゴミを使った雑貨作りや天然ハーブを使うアロマキャンドル作りなどが行われていた。さまざまな体験やアートに触れることで世界が抱える課題について改めて考えさせられるこのイベントは、各国に伝播する可能性を秘めている。
「Varana Hotel Krabi(バラナ ホテル クラビ)」は、タイの言葉である「Vana(森)、Nava(水)、Nara(人)」に着想を得て建てられたリゾートホテルで、タイの国家戦略「Bio-Circular-Green(BCG)経済モデル」に根差した設計思想から、倫理的な配慮が旅の体験に不可欠という哲学へと発展。この哲学が、短期的な利益ではなく、長期的かつ環境的・社会的な幸福を追求する運営の基盤となっています。
特筆すべきは、BCGモデルを具体的なアクションへと落とし込み資源の循環を徹底している点にあります。例えば、雨水や余剰水を地下帯水層に貯留し乾期の水不足に備える地下水貯水システムの採用やリサイクルされた自動車を改造した電動トゥクトゥクをゲストの移動手段として採用、キッチンや庭から出る有機廃棄物を堆肥化し敷地内の景観維持や地域の農業パートナーに提供する包括的なループシステムの実践など、その取り組みは多数挙げられます。
また、心身を整えるためのウェルネス施設においてもその思想は深く結びついています。タイ独自のハイドロセラピーを体験できる「NAAM Wellness」や伝統的なタイの医療を現代的な手法に応用し、心身のバランスと活力を回復させることを目指す「FAA Spa」はその代表格。その卓越性が認められ、Thailand Spa & Wellbeing Awards 2025において「ウェルネスリゾート賞」を受賞しました。さらにマインドフルネス・アクティビティとして、森林浴を楽しむゾーンや「フローティング・サウンドバス」「オリンピックプール」などもあります。

クラビの山々に囲まれた「Varana Hotel Krabi」は、地域の伝統を尊重しつつ、最先端のウェルネス体験を提供する究極の癒やしの拠点となっている。




地下水貯水システムの特徴はリサイクル素材と竹を利用し、電力を一切使わずに景観を自然に冷却・灌漑する点であり、真に持続可能な水管理を実現。電動トゥクトゥクでの静かで低排出の交通手段の提供や、キッチンなどから出る有機廃棄物を堆肥化させた土を利用する「0kmファーム」も敷地内に設置している。




瞑想プールを含む10ステップからなる60分間のDIYジャーニーを通じて、心と体を深く浄化し、自然との一体感を育む「NAAM Wellness」(上)と心身のバランスと活力を回復させることを目指すスパ「FAA Spa」(下)。




クラビ初にして最大級となる、7レーン、水深3メートルを誇る50メートルの「オリンピックプール」のほか、水に浮かびながら音の癒やしを体験する「フローティング・サウンドバス」や国際基準を満たすトレーニング施設「FABフィットネス」など充実した施設も魅力。また、屋外クライミングウォールを使うアクティビティなどさまざまなプログラムもスタンバイしている。
「Varana Hotel Krabi」のサステナビリティとウェルネスの哲学は客室空間においても表現されています。「ミニマリスト・エコ・ラグジュアリー」というコンセプトを元に、サイクルPETボトルから織られたラグや竹製の照明などを採用。サステナビリティをただ受け入れるだけでなく、審美的で心地よい滞在の一部としてゲストを惹きつけます。




「プレジデンシャルスイート(上)」には、化石木やリサイクル樹脂などのBio-Circular-Green素材を採用。また、地元アーティストが制作したリサイクルココナッツのアートワークが客室に彩りを与える。アメニティにはサステナブルなスキンケアで世界的に知られる「Comfort Zone」のアイテムがそろう。
クラビの自然と美味しい料理が一度に楽しめるレストランにも案内してもらいました。
一つ目はバンカー湾を望む絶景レストラン「カオトン・ヒル」。タイ語で「黄金の丘」という意味を持つこのレストランからは、水面を黄金に染めるサンセットを眺めることができます。ちなみに美しいサンライズも見られるそうですが、その時間はお店がオープンしていないのでオーナーやスタッフだけの特別な時間なのだとか。そんなカオトン・ヒルでは、伝統的なタイ料理はもちろん、ピザやパスタといったカジュアルなメニューもラインナップ。またカフェメニューも充実していて、タイで流行っているコーヒー×フルーツのフレーバーコーヒーも味わえます。丘の上から望むクラビの島々や美しい夕陽と洗練されたカフェメニューに満足すること請け合いです。
次に紹介するのは同じ水辺でも清流のすぐそばに建つリバーサイドカフェ「The Hideaway(ザ・ハイダウエイ)」。都会の喧騒を忘れさせる静かな雰囲気のこちらでは、オーソドックスなタイ料理を味わうことができます。川のせせらぎを足元で感じながら、タイスタイルのランチを楽しんで。



山の麓から「カオトン・ヒル」の専用バスで丘の上まで移動し、レストランへ向かう演出も旅の思い出になること間違いなし。夕陽の時間には混み合うので、少し前に行くのがおすすめ。



「The Hideaway」はタイが熱帯地域と忘れるほど清涼感が魅力。少し辛めのガパオやモチモチの食感が癖になるパッタイなど、タイ料理の醍醐味が味わえるのも嬉しい。
今回は、ウェルネス&サスティナブルをテーマにしたイベント「ReWild Festival」とサスティナブルを意識したエコ・ラグジュアリーなホテル「Varana Hotel Krabi」をご紹介しました。次回は雄大な自然に見て触れて癒されるクラビのウェルネススポットを中心に紹介します。ご期待ください。
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