84歳。巨匠にして最先端。
ジャン=リュック・ゴダールの3D「さらば、愛の言葉よ」[spotlight page 1]
これはゴダールの遺言である ――― ル・モンド紙

新作が発表されるたびに、もうこれ以上の到達点はないのではないかという映画の次元を軽々と更新し続け、巨匠にして前衛であることの不可能性を生きることを唯一許された映画監督の新作は“3D”だという。
タイトルは、「さらば、愛の言葉よ(原題は、Adieu au langage=さらば、言葉よ)」。
この作品は、昨年のカンヌ国際映画祭審査員特別賞を受賞し、その他、ゴダール(とそのパートナーであるアンヌ=マリー)の愛犬、ロクシー・ミエヴィルには、“パルムドッグ審査員特別賞”が授与された。
ゴダールは、半世紀以上も前、『勝手にしやがれ』(59)でヌーヴェルヴァーグの旗手としてデビューし、その後、商業映画との決別、政治の時代を経て、映像と音響=映画による哲学的考察を類希な編集力によって発表し続けてきた。
今回の新作は、前作[ゴダール・ソシアリスム](2010) に引き続き、撮影監督にファブリス・アラーニョを迎え、動画を撮ることができるスチールカメラ(キヤノンEOS 5DマークⅡ)を2台使用し撮影されたという。(本作品の公式HPに掲載されているファブリス・アラーニョのインタビューは必見)。その映像は、実験的という一言で片付けてしまうには、あまりにも圧倒的な痕跡をスクリーンに映し出す。
ゴダールの映画は難解だとあなたは言うかもしれない。
しかし、ゴダールのつくる映像と音響は、どうしようもなく美しい。難解な主題はとりあえず脇において、ヨーロッパ最高の知性が創りだす奇跡的な光と影、そして音のシャワーにただ身をゆだねる。それだけであなたは、現代に生きていて幸運だったと確信できるはずだ。
【ストーリー/男と女、一匹の犬と最期の言葉】
人妻と独身の男。 ふたりは愛し合い、喧嘩し、一匹の犬が町と田舎を彷徨う。 言葉をめぐり季節は過ぎ去り、男と女は再び出逢う。 前夫が全てを台無しにし、第二のフィルムが始まる───



INFORMATION | |
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映画名 | さらば、愛の言葉よ |
WEB | http://godard3d.com |
監督・編集・脚本 | ジャン=リュック・ゴダール |
撮影 | ファブリス・アラーニョ『ゴダール・ソシアリスム』(2010) |
出演 | エロイーズ・ゴデ、カメル・アブデリ、リシャール・シュヴァリエ、ゾエ・ブリュノー、ジェシカ・エリクソン、クリスチャン・グレゴーリ、with ロクシー・ミエヴィル(アンヌ=マリー&ゴダールの愛犬) |
備考 |
2014年 / フランス映画 / フランス語他 / 69分 / 原題:Adieu au Langage 3D / 英題:Goodbye to Language 3D / 配給:コムストック・グループ / 配給協力:クロックワークス ©2014 Alain Sarde – Wild Bunch シネスイッチ銀座ほか全国公開中! 福岡:2月21日(土)より、KBCシネマにて公開(2Dのみ) |