坂 茂設計「出会いと五感のミュージアム」大分県立美術館、来春オープン[spotlight page 1]

いよいよ完成間近の新たなアートスペースに期待が高まる。

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大分県立美術館、通称「OPAM」が2015年4月24日に開館する。日本国内では、2006年の青森県立美術館(設計・青木淳)以来、約9年振りの県立美術館の誕生ということになる。「出会いと五感のミュージアム」というコンセプトを掲げ、館長に就任するのは、1970年〜80年代にセゾングループを率いた堤清二のもと「セゾン文化」の中心点として東京のアート・カルチャーシーンを牽引したセゾン美術館(旧西武美術館)の元学芸員、新見隆。美術館のビジュアルコンセプトを伝えるコミュニケーションデザイナーには、資生堂などで質の高い仕事を手掛けてきた平野敬子と工藤青石によるデザインユニットCDLが起用された。
そして、美術館の設計は、今年のプリツカー賞受賞建築家・坂 茂。国内初の公立美術館の設計となる。現在まで日本の建築家は、途切れることなく世界で活躍してきた。中でも今もっとも注目される仕事をおこなっているのが坂 茂だ。近年のトピックは、フランスメス市に2010年に完成したポンビドゥー・センター別館(同じフランスのランスに昨年オープンしたルーブル別館を設計した妹島和世+西沢立衛によるSANAAとともに日本人建築家が、フランスの国家的な文化施設を設計したということはもっと評価されてよいはずだ)。
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しかし、坂 茂の評価の大きな軸となるのは、災害支援プロジェクトだろう。このプロジェクトのきっかけとなったのは、1994年のルワンダ内戦。200万人もの犠牲者が出たといわれるこの地の難民キャンプで、安価なコストと短期間で建造できる紙管の避難シェルターを提案したことから始まる。その後も、95年阪神大震災での「紙の教会」、04年スマトラ沖地震での住宅、08年中国四川省地震での学校の仮設校舎などの建設をおこなった。
そして東日本大震災では、多くの住民が生活する避難所でのプライバシーを守る間仕切りシステムの設置や、宮城県女川町での多層仮設住宅での建設などをおこない(この女川町の仮設住宅は、あまりの住み心地の良さから、仮設住宅の設置期間後もそのまま暮らし続けたいと希望する住人が多かった)、これらの活動は、大きな成果を上げた。また、「ボランタリー アーキテクトネットワーク(VAN)」を組織し、世界中の被災地で建築を通した支援活動を行っている。そんなアクティブな建築家が手掛ける大分県立美術館の設計コンセプトは「街に開かれた美術館」。建築家いわく「誰もが気楽にお茶を飲みにきたり、ミュージアムショップをのぞいたり日常的に楽しめる美術館」を念頭に設計をおこなったという。ファサードは、電動の大きなガラスの折戸になっており、折戸を開けると美術館と街が一体となる。また、大分の伝統である竹工芸をイメージした外装デザインが、この建築のアイコンを形づくる。開館記念の展覧会では、ダリ、ミロ、ターナー、マティスなどに加え、田能村竹田、福田平八郎、宇治山哲平ら大分ゆかりの作品約200点が並ぶ予定だ。
大分は、世界で活躍する建築家、磯崎新の生まれた地でもある。県内には、磯崎新の初期から近年までの建築が数多く存在し、世界中から建築を志す者が訪ねる聖地でもある。来春に大分県立美術館が完成すれば、大分県民は、またひとつ世界に誇る建築家の作品を手にすることができる。なんとも羨ましい限りだ。
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施設情報
施設名大分県立美術館 OPAM
住所大分県大分市寿町2-1(JR大分駅から徒歩約15分、大分ICから車で約10分)
WEBhttps://www.opam.jp/op/

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