写真家・増浦行仁が見た宗像・沖ノ島の荘厳で神秘な歴史の横顔[spotlight page 1]

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福岡の中心地から北に約1時間行くと宗像に到着します。古くから日本と朝鮮半島、さらに大陸を結ぶ重要な海上交通の要衝として重要視されてきたこの地に鎮座する宗像大社は、日本最古の歴史書と言われる「古事記」や「日本書紀」にも登場する歴史ある神社。交通安全の神様としても知られ、天照大神の3人の娘が祀られていると伝わっています。祭神である宗像三女神とは、沖ノ島・沖津宮の田心姫神(たごりひめのかみ)、大島・中津宮の湍津姫神(たぎつひめのかみ)、そして、辺津宮の市杵島姫神(いちきしまひめのかみ)の三柱の姫神様。“神すむまち”なんて呼ばれることもある背景にはこうした歴史もあるのでしょう。大化の改新(645年)の後、宗像郡(現在の宗像・福津市・古賀市・宮若市・遠賀郡の一部を含む地域)は、国郡の制が施行されると九州唯一の神郡に制定されました。特に「神宿る島」と呼ばれる玄界灘に浮かぶ沖ノ島は、島全体が御神体であり、女人禁制、上陸時の海中での禊、一木一草一石たりとも持ち出すことを禁ずるなどの掟が厳重に守られ、住人はなく、今でも辺津宮より神職一人が交代で奉仕しています。神秘の島として古代からの祈りの跡は深く覆われ、長く一般に知られることがなかったこの地域が今、「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」として、ユネスコ世界文化遺産の国内推薦候補として正式決定され、にわかに注目を集めています。

それを記念し、今、宗像大社神宝館では「宗像・沖ノ島大国宝展」を開催しています(開催中〜11月28日(月))。この展覧会では、初公開の国宝を含め、沖ノ島で出土された国宝の数々を展示するとともに沖ノ島で行われた祭祀の変遷を紹介しています。

また、この展覧会に合わせ世界的に著名な写真家である増浦行仁氏による写真集「起源」も刊行。1963年に生まれ、小学4年の時に初めてカメラを手にし、写真家を目指し弱冠18歳で単身フランスに渡った増浦氏は、「VOGUE(Paris)」などで活躍していた伝説の写真家ギィ・ブルダンのアシスタントを経て、1987年には、フランスの美術展覧会であるサロン・ドートンヌに入賞、その後、ルーブル美術館、オルセー美術館、パリ近代美術館、ロダン美術館の作品撮影を行い、1994年から7年の歳月をかけてミケランジェロの全彫刻作品の撮影を任されるなど、輝かしい経歴の持ち主です。今回完成したこの写真作品集「起源」は、増浦行仁氏が宗像の世界遺産候補地の関連遺産群に何度も訪れ、撮影を重ねた作品で構成されています。特に、沖ノ島には、延べ100時間以上の撮影時間が費やされ、普段は誰も見ることのできない、沖ノ島の姿を見ることができます。神々しい島が見せた一瞬の表情、増浦氏の切り取った歴史の瞬間を展覧会と写真集の両面から目撃してみては。
写真集概要
『宗像大社・沖ノ島 大国宝展』開催記念写真集
増浦行仁写真作品集 「起源 ORIGIN 〜宗像三宮と宗像一族〜」
2,700円(税込)
増浦 行仁 プロフィール
写真家 1963年生まれ。1981年渡仏。1983年伝説の写真家VOGUE(Paris)ギィ・ブルダンのアシスタントとなる。1987年サロン・ドートンヌ入賞。ルーブル、オルセー、パリ近代美術館、ロダン美術館の作品撮影。1988年フランス国立図書館に作品31点が永久保存される。1994年〜2001年ミケランジェロの全彫刻作品を撮影。これまでに、写真集として『GENESIS』(2002)、『天狗の棲む山』(2006)を刊行。2006年より特別に許可を得、伊勢神宮「第62回神宮式年遷宮」の撮影ならびに2008年より出雲大社「平成の大遷宮」の撮影をそれぞれ開始。

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