no20 ”本物”は道具としてではなく、人生のパートナーとして時を刻む

現代において時計は、時間を知らせるただの道具とは一線を画す存在となった。
持つ人の人格まで映し出す“本物”の時計とそれに魅せられた一人の男に迫る。

”本物”は道具としてではなく、人生のパートナーとして時を刻む[feature page 1]

Oro-Gio代表の木村喜久氏が考える
機械式時計の魅力とは

CEO Interview

50年後、100年後、この時計を誰が使っているかはわからない。
ただ、それを考えることができるということにロマンがある。

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[ Oro-Gio代表 ] 木村 喜久 氏

この道、30年以上のキャリアを持つ木村喜久代表。創業当初はブランドのことを知るため海外から資料を取り寄せ、独学で一から学んだそう。また、接客の時に話す言葉は紙に一言一句書きながら覚えたと笑いながら話す。そんな木村代表のこだわりは店内にも見られる。北欧系の照明や木を基調にしたディスプレイがラグジュアリーな空間を演出し、訪れる人に特別な時間をあたえてくれる。

時計が誕生したのは今から約6000年ほど前、エジプトで生まれた棒と影を利用した日時計がその起源だと言われている。その後、1300年ごろに機械式時計が誕生した。当時、時を知らせる道具として重宝された時計も、家電をはじめとしたさまざまなものの機能の一つとなった現代では、そのもの自体が宝飾品としての価値を見出すことになる。中でも100年以上時を刻むことができる機械式時計は、その優れたデザイン性と機能性から芸術品と同等の価値が付けられているものも少なくない。福岡を代表するブランド時計の専門店・オロジオの木村喜久代表も、そんな機械式時計に魅せられた一人だ。

リューズを巻き上げ、命を吹き込む。
その「儀式」が愛おしく感じさせる。

機械式時計を販売するためにオロジオを創業したという木村代表。彼は機械式時計のどこに魅せられたのだろうか。
【木村喜久氏(以下、木村)】 機械式時計の魅力は、リューズを巻き上げることで時計に命を吹き込んでいるというところ。朝が来ればリューズを巻き上げて一日がはじまり、自分と共に時を刻む。そういったところにロマンを感じます。その所作はまるで「儀式」のようですが、そこがまた機械式時計を愛おしくさせるのかもしれません。そういった魅力に触れたことがきっかけで、さまざまな時計ブランドを見るようになりました。ただ当時の機械式時計は「壊れる時計」でした。というのも、今では常識となっている3気圧防水(手洗い時に水に触れても浸水しない程度の防水)すらないものも多かったんです。その後、機械式時計は日本市場の拡大や技術の進歩によって、機能やデザインのクオリティが急激に向上しました。その頃気づいたのが、本当に良い時計は、デザインも大きく変わらないし、20年後、30年後に身につけてもそのクオリティは通用するものだということ。私が「BREITLING(ブライトリング)」や「IWC」「PANERAI(パネライ)」といったブランドに惹かれた理由はそういうところなんです。

素晴らしい時計を売りたい!
その情熱だけで福岡に出店を果たす。

機械式時計に魅せられ、自らもコレクターとなった木村代表。そんな彼が機械式時計ブランドの専門店を立ち上げようとしたきっかけはどんなことだったのだろうか。
【木村】 確か1998年だったと思うんですが、その時出会ったパネライに、こんな時計があるのか!と衝撃を受けたのを今でも覚えています。一目見た瞬間、「これを福岡で販売したい!」と思い、後先も考えずにその情熱だけで福岡にオロジオを出店しました。

魅力を伝え好きになってもらう。
それを15年続けたから今がある。

当時は知る人ぞ知るブランドをあえて選んだ木村代表。その真意についても伺ってみた。
【木村】 パネライをはじめ、ブライトリングやIWCが好きというのは当然あります。それに当時、知る人ぞ知るブランドだったからこそ、それを広げる余地があるとも考えました。だからこそオロジオでは、お客様にブランドヒストリーを知っていただき、そしてブランドや商品を好きになってもらい、その上でご購入いただいています。私があえて接客をがんばらなければいけないブランドを選んだ理由は、きちんとお客様との結びつきを大切にしたいからです。例えば、超メジャーな高級時計ブランドを揃えて、お客様の予算に合わせた販売方法のほうが楽かもしれません。しかしブランドの物語や歴史、そしてそれらによって裏付けられた製品の良さを知ると記憶に残ります。もし、その時購入されなくても、その時話を聞いてくれた方は必ず当店に戻ってきてくれる。創業当初からそのスタンスを続けたからこそ今があるのだと思います。
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Oro-Gioのこだわり

オロジオの最大の特徴といえば、取り扱っているブランド全ての正規販売店であるということ。つまりこれは、万が一購入した時計が故障しても、正規の価格でメンテナンスができるという証だ。また正規販売店だから、保証期間もブランドが提示している正しい期間を提示してくれる。オロジオが正規販売店であることにこだわっている理由は、50年後、100年後も使えるものだからこそ、安心できるものを提供したいという想いから。また一人で数本購入する方もいる一方で、高級な商品なだけに、これを生涯の一本として選ぶ人も少なくない。だからこそ、その一本ときちんと付き合いたいと木村代表は話す。Oro-Gioのこだわりは購入後に気づくことも多い。

15周年という区切りの年に誕生する
新たなスペースに期待が高まる。

15周年を迎えたオロジオが、これから目指しているのはどんな場所なのか。
【木村】 当店の特徴は、スタッフそれぞれが自分のスタイルを持っていること。彼らは趣味趣向もファションも違います。ですから、どのような角度でお客様と接するかも個々人で全く異なります。私は彼らがそれぞれのスタイルで接客するのはとても良いと思っているんです。その環境で唯一実現したかったのがワンブランドのショップ。新しく誕生した「スピリット・オブ・ブライトリング」はショップインショップではありますが、この場所の隣のスペースにオープンすることができました。それこそブライトリングのブティックの様な空間になります。ここでどんなお客様たちと出会えるのか、そして新しく誕生した空間からどんな物語が生まれるのか、私も楽しみにしています。


100年先にまで思いを馳せられる。
それが機械式時計の魅力。

最後に改めて、機械式時計の魅力について伺った。
【木村】 私にとって時計とは人生そのものかもしれませんね。朝、手にとってリューズを巻き上げる。そして自分といっしょに時を刻みます。また、きちんとメンテナンスすれば今から100年後もこの時計は動いているでしょう。100年後、私の時計を使っているのは誰なんだろう……そんな想いにふけることができるのも機械式時計ならではの魅力ではないでしょうか。

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