no14 家具は家族

「イタリア生まれ、日本育ち」のインテリアブランド『arflex』が描く、モダン・ファニチャーの未来に迫る。

家具は家族[feature page 1]

家族の時間と絆をつなぐ、それが家具本来の姿。

モダン・ファニチャーからライフスタイル・ファニチャーへ。家族と共に生きる家具への進化。

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アルフレックスジャパンの創業者・保科正氏はモダン・ファニチャーという家具の新しいカルチャーを日本に持ち込んだパイオニア。そしてその息子で現・代表取締役社長の保科卓氏(写真)もまた、家具のあり方について新たな提案をする。そんな保科卓氏の憧れの人は、父の正氏。正氏について卓氏は「やることが新しくて全てが格好よかった」と和かに話してくれた。

日本の一般家庭に西洋家具が進出してきたのは戦後からといわれる。とはいえ当時は、畳にちゃぶ台というスタイルがほとんどで、家族団欒の場にソファがあるというシーンはほぼ見られなかった。そんな時代に、欧米の生活スタイルの豊かさと日本の実状の違いに疑問を持ったのがアルフレックスジャパンの創業者・保科正氏だった。当時グラフィックデザイナーだった彼は、欧米のライフスタイルを知るため単身でイタリアに渡る。そして、その時運命的に出会ったアルフレックスのソファに惚れ込んだ保科正氏は、イタリア家具の職人に転身することを決意。それから丁稚奉公を経て社員となり日本に残した家族を呼び寄せ、イタリア家具の修行に打ち込んだのだった。
保科正氏が日本に広めたのは「モダン・ファニチャー」という家具の新しいスタイル。一般的にモダン・ファニチャーとは産業革命後のクールでシンプルなデザインの家具を意味するが、保科正氏はそこに「家庭の基盤を作り、家族の絆を深める家具」というコンセプトを加える。これは彼がイタリア修行時代に関わった多くの師匠や当時訪れたポンペイの遺跡から学んだ、家具とは「豊かな暮らしを支えるための道具である」というフィロソフィーからくるものだった。またアルフレックスはイタリアで生まれたブランドだが、日本で販売される製品のほとんどは日本で製造されている。つまり保科正氏は、イタリア本国のアルフレックスから、その精神までも日本に拡める使命を与えられたのだ。

the history of arflex

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1967 / 創業者・保科正、イタリアへ

高度経済成長期の日本で「これからの日本の生活には服飾ではない何かが必要である」と感じた保科正氏は、イタリアに渡る。そしてミラノで見たアルフレックスのソファに一目惚れした彼は、その扉をたたく。家具作りのノウハウとイタリア人の生き方から真の豊かさを学んだ保科正氏は、アルフレックスの日本オリジナルデザインの製造および販売ライセンスを与えられる。

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1969 / 念願のアルフレックス ジャパン設立

日本に帰国後、保科正氏はアルフレックス ジャパンを設立。イタリアからの輸入とともに、日本の文化や環境に合わせた国産化やオリジナル製品の開発に取り組んだ。当時、高度経済成長期にありながら「住」だけが時代の変化に取り残されているという状況で、保科正氏はイタリアで学んだ暮らしのための合理性を表すソファやチェアといったインテリアからライフスタイルを提案。

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1971 / 応接間からリビングルームへ

この時代に発信した最も革新的なことは、今では常識のリビングルームにソファを置いた生活空間の提案だった。当時は客人を招く「応接間」にあったソファを家族のくつろぎの空間の中心に置くことで「リビングルーム」の発想を定着させた。日本のモダンライフ創世記に登場したアルフレックスのロングセラーモデル「MARENCO(マレンコ)」が登場したのもこの頃。

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1987 / 「カーサミア河口湖」開設

森の中の大型ショールームや3棟のモデルハウスを通して、家具単体ではなく、空間全体そして住まい全体を提案する施設「カーサミア河口湖」を開設。この頃を境にソファ中心だった商品レンジがダイニングルームやベッドルームにも拡充。ライフスタイル提案型のインテリアブランドというイメージをより進めた。ちなみに「CASA MIA」とはイタリア語で「私の家」という意味。

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2008 / 「旭川ファクトリー」開設

美しい自然と、家具産地として豊かな人材が集まる北海道・旭川に開設した「旭川ファクトリー」。ここではアルフレックスのソファにおける生地の裁断から、縫製、構造体となるモールドウレタンの発泡、組み立て、検品まで、そのすべてが行われている。機械化と同時に人の手だからこそなし得る手作業を加えることで、製品の高いクオリティと短納期を実現した。

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2015 / 「テクニカルサービス」開設

「ご購入後20年、30年と、変わらず快適に過ごしていただきたい」という想いを形にした、アルフレックス製品のメンテナンス専門施設が今年の6月、神奈川県川崎市にオープン。この施設ができたことで、さらに修理や受け渡しの迅速な対応も可能に。アルフレックスが描く「世代を超えて家族に受け継がれる家具」がより身近なものになったといえる。

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